NHK朝ドラ

『ひよっこ』130~131話 忍ぶ恋~なぜヒデは島谷に会いに行ったのか、なぜ島谷はみね子を諦めたのか~♪「Just After The Rain!」「ピエロ」

「みね子ちゃん」とちゃん付けで、普段「みね子」と呼び捨てにしている彼女をそう島谷さんの前で呼んだヒデくん・・・

そこには、彼なりの優しさと気恥ずかしさがきっとあったに違いありません。だって島谷さんだって「みね子ちゃん」で終わちゃったんですから。

恋人「候補」宣言!でもう一回、恋の始まり!!








前に「99話~呼び捨ては恋の始まり!」でも話しましたが、ワザワザ彼女に面と向かっての「みね子」と呼び捨て宣言には、ヒデくんなりの決意がそこにはありました。つまり、声にこそ出してはいないけれど、実質の「恋人候補宣言」です。あくまでも彼の胸に秘めた想いですが。

これまで島谷さんとみね子の恋が進行中の時も、時折寂しそうな表情こそ見せはしましたが、いっつも彼女のしあわせを第一に考えてくれていたヒデくん・・・
自分の想いを決しておもてに出さず、島谷さんとの恋を陰日向で応援していた彼がなぜ?わざわざ佐賀まで出向いて行ったのでしょうか?

みね子には今なお、自分の想いを伝えていないのに、なぜに島谷さんだけには打ち明けたのでしょうか?
確かに彼が言うように友だちだから、話しておきたかったのでしょう。
しかし、それだけでないような気がしてなりません。

以前、月時計でふたりっきりで「彼女に悲しい思いなんかさせるなよ・・・」って島谷さんにヒデくんが言ったセリフありましたよね。深読みかもしれませんが、その裏返しで「今度こそ、オレが悲しい想いなんてさせない!」という実質どころか、そのまんまの「恋人候補宣言」的な意味があったと思うのです。

島谷さんが、ヒデくんとみね子が付き合っているかどうかまでは知るよしもないと思いますが、みね子に悲しい思いをさせた島谷さんだからこそ、彼にだけは自分の決意の程と本当の素直な気持ちを言っておきたかったのでしょう。

島谷さんとみね子が進行中の時、ヒデくんの見せる切なそうな表情が印象的でしたが、今回ヒデくんの報告を受けて島谷さんが見せた寂しそうな表情が前のヒデくんと被ってしまってやりきれなかったです。「やっぱりな・・・」という諦観と「コイツなら大丈夫!ガンバレ!」というふたつの想いが入り混じっていたようでした。

前彼の前での恋人宣言でケジメを付けたヒデくん・・・しかし、当のみね子にはなぜ自分の想いを伝えることはしないのでしょうか?「いまは、その時じゃない!いつか話せる時になったらその時に・・・」と思っているのでしょう。ヒデくんならではの優しさが伝わってきます。




なんで、ワザワザ再登場?!
視聴者媚びは正直ウンザリ・・ザンネン・・

島谷さんのまっすぐであたたかみのあるところが好きだった僕も、今回の彼の登場には「?」がつきます。悪趣味とまでは言いませんが、ワザワザリングをUPしちゃったりして「結婚しました!」を納得させる図にはがっかり・・・

みね子じゃないですが、「蒸し返された」みたいであまりいい感じではなかったです。劇中では、恋の終わりからのみね子、島谷さんの苦悩は描かれてはおりませんでしたが、それだけにあっさりと立ち直りが早いというか変わり身が早いとでもいうべきか、なんかゲンナリです。

それでも蒸し返す訳ですが、あの時(月時計での終恋話)いったいぜんたい、島谷さんには他の選択肢はなかったのでしょうか?みね子が「親不孝な人はキライです・・・」というのは固定です。ここは、彼女の全身が親孝行家族思いでできあがってますので、ここは不動箇所になります。

ここで蒸し返すのも、あんな終わり方、未だにスンナリ収まらないからなのです。好きってそんな程度のことだったの?みね子に説得されて、ハイそうですね・・・ってすごすご店を出て行く島谷さんなんて見たぐながったです。

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わがります、親の大人の事情というものを優先させてしまったということも、そうせざるを得ない彼なりの苦しみもあったことも・・・でもやっぱり、みね子への想いというものはそんな程度のものだったの?ってところに行きついてしまうのですね。

島谷さんとの別れがなければ、次の恋へとお話は進行しませんから致し方ありませんが、島谷さんファンの僕としては、次のうちどちらかを敢えて選択する男気のある島谷さんでいて欲しかったです。ごめんなさい、島谷さん・・・

①何が何でも親を説得し、みね子と結婚!そしてみね子と一緒に家業も立て直す・・・

②親を説得するのは無理と分かっても、何が何でもみね子と離れない、あきらめない~という最初の彼の決意を貫き通す・・・

島谷さんのでしたが、みね子にはもっと芯の強い、ブレないヒデくんや綿引さんのような人がお似合いで、ふたりともしあわせになれるような気がします。

何で・・・俺に何も言わないで、いなくなった?

みね子ちゃんのことはしかたないと思うよ

詳しくは知らないけど

あっ、俺は確かに、悲しい思いをさせるなとは言った

でも、お前がそうしたくてしてるわけじゃないことくらいは、分かる

だから、それをどうこう言うつもりはない

うん・・・悪かった、何か、合わす顔がなかった

みね子ちゃんのことは心配するな

大丈夫だ

俺が守るから

俺、あの子のことが・・・

好きだ

女の子としても、人としても好きなんだ

大好きだ

それを言いに来た





登場キャラのエピソード、まだまだいっぱい?!

しかしですね、この頃いよいよ終わりが近付くに連れ、思うところがたくさんあります。前に朝ドラ『こころ』を例に挙げて、登場人物をたくさん出しすぎて、そのキャラにこれまたお話を付けたしてしまうと、どこに焦点を当てているのか、つまり何が言いたいドラマなのかボケてしまうと話しました。

最近、帳尻が最終的に合わなくなってしまうような気がしてなりません。愛子さんの恋、富さんと亡くなってしまった松永さんとの想い出、KYコンビのその後、早苗さん、由香の実家とのくっつき具合、世津子さんのその後、ヤスハルくん・・・と未だに落とし所が見つかっていないお話がたくさんあります。

よく、朝ドラでやるようなラストスパート&ダッシュで、みんな無理矢理決着させてお話てんこ盛り~だけは勘弁してほしいです。

これまでていねいに描かれてきたキャラ、みなさんが多いだけにそれだけは決してして欲しくないです。残すところあと1ヶ月を切りましたが、登場キャラクターすべての背景、過去そして着地点を見出し、描く必要があるのでしょうか?

登場人物が多いのは、物語の進行上しかたないにしても、少しいろいろな人にスポットライトを当てすぎたのではないでしょうか?

今日の由香ひとりをとってみても、とても魅力的なキャラクターで島崎さん熱演していますが、設定がちょっと無理があるというか、家出までしてという状況を作り出したのであれば、その経緯ももっと深く描き、着地点をきちんと与えてあげないといけないと思うのです。

距離を置きたくて家出までしたのに、少し大人になって、家族の辛さもありがたみの分かったから「私はここにいるわよ~」なんて、本当に正直なところ劇中でも言ってましたが「どうでもいいことで、ほんとうにめんどうくさい」と思いませんか?

132話でみね子の機転で無理矢理腕引っ張ってすずふり亭まで連れて行く様子が描かれていますが、ここまでくるともう由香が滑稽に見えてきます。やっぱり、自分で家を出て行ったのなら、自分から鈴子さん、省吾さんの待つすずふり亭に行って欲しかったですね。




せっかくこれまで焦点をあてて迫ってきた、家族愛という大きなテーマ・・・核心に触れはしましたが、未だ本当のコアをとらえるまでには至っていないと思うのです。残りの時間は残されていませんが、やっぱりヒロインみね子嬢、家族、そして実さんに繋がる世津子さんに絞ってお話展開していって欲しいです。もうこの際、愛子さんの恋バナは望まないことにします。我慢だけど・・・

それにしても、島谷さんが去ってしまってから、なぜこんなにも後を引くのでしょうか?あんな恋の終わりだったから?先に「簡単にあきらめる~」とか「こんな程度の想い~」なんて酷いことを話しましたが、島谷さんの想い、みね子に対する愛情がホンモノであったとしたなら、やはりみね子のことをいの一番に考え、自ら身を引いたのではないかと今となっては思うのです。

つまり、駆け落ちしたとしても、無理矢理親を説得したって、みね子がしあわせになれない、してやれない~それだったら自分が今、身を引けば・・・そう思ったはずです。みね子と一緒にいたい!という強い想いを押し殺し、彼女のこれからをしあわせを願うあまり、あえてピエロを演じたのではないかと思うのです。

あえて損役&悪役を引き受けることに甘んじ、彼女のしあわせを願う忍ぶ愛・・・親友であったヒデくんにも何も告げずに雲隠れするようにひっそり消えてしまった島谷さんも、これでやっと理由が分かりました。

彼の本当の胸の内は、彼以外、例え親友のヒデくんさえ分からないと思いますが、ピエロを演じた島谷さんのツラさ切なさを思うとやりきれないです。

実を結ぶ恋ではなかったけれど、島谷さんみね子、お互い大切なものをもらった、今ではたからもののような恋であったと思いたいです。

NHK連続テレビ小説『ひよっこ』130~131話 22週「ツイィギーを探せ!」8月31日9月1日
「Just After The Rain」川嶋あい

「道化師ピエロ」THE虎舞竜


 

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