はじめて『2』がついたNHK朝ドラ
久~しぶりに実家に帰って、縁側あたりでのんびりポカポカしながらお茶をすすっているような、そんなちょっぴりしあわせ感に浸れた4日間だったね。
あれから2年後の設定であるのに、相も変わらずの「ひよっこワールド」のパワーに圧倒されっぱなしであったが、あらためてスゴいと思うことはやはり、絶妙な脚本とキャスティング、そしてヒロイン有村架純をはじめとするすべての登場人物の存在感。
有村のいそうでいないリアリティの出し方は図抜けているが、登場人物すべて、お互いがお互いの存在感を引き立てていて何とも言えない「ひよっこワールド」を作り上げていってしまうのだからこれまたスゴすぎる!
『ひよっこ』を観ていると、いつの間にか自分も「ひよっこワールド」の住人になっているような不思議な感覚を覚える。素直に感情移入できるのだ。つくりもの感を感じさせる暇などなく、チャンネルを合わせたとたんに私たちは「ひよっこワールド」に引き込まれて行ってしまうのだからこれまたスゴい!
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こんな朝ドラはいままでなかったよね。私もまた朝ドラ歴は長いけど、名作の誉れ高く視聴率もスゴかった『おしん』『あまちゃん』だって私に言わせれば『ひよっこ』にはかなわない。勝手に私的評価が高い『すずらん』『ちりとてちん』『カーネーション』もまたトータルでは『ひよっこ』には負けちゃう。
他のドラマの場合、「アッソ」「よかったね」「たいへんだね」~とどうしても他人事であり、そしてフィルターを通してちょっと遠いところから眺めている感じなのだが、『ひよっこ』は他人事などではいられない感覚にいつの間にか包まれていて、ドラマのコトなのに自分のことのように落ち込んだりよろこんだりしてしまうのからアラ不思議。
そんな『ひよっこ』の続編が『ひよっこ2』。あれから2年後の1970年、まだ昭和の香りがプンプンする奥茨城村&東京赤坂が舞台。あらためて&しみじみと『2』も「いがったね!」なにしろ、ちよ子も進も配役そのまんまで、ちょっとお姉さん&お兄さんになってもかわいさもグッド!さもそのまんま。けれど、ちよ子はやっぱりしっかりもののお姉さんになってたね。
他のおのおのがた40人以上のオールスターもまた、それぞれほんとうにそれぞれがみんななりに生きててよかった。みんな幸せそうだけれど生きてりゃそりゃいろいろある。でもみんな前シッカリ向いて毎日生きていて、ほっとしたのと同時にうれしかった。
「いま」があるしあわせと、「これから」の不安・・・
オールスターのひとり、鈴子さんだってそれなりのお年だもの、いつかは引退・・・って考えるよりも先に、どうしてもカラダが・・・そんな鈴子さんをまわりのみんなが気遣ってあげている。相変わらずすずふり亭のみんな、いい人すぎてなんだかコワい!(そう言えばみね子も、ヒデとのラブラブ振りを「しあわせすぎてなんだかコワい!って言ってた)
今回、特にちょっとだけさざ波があったのは、鈴子さんとちよ子・・・世津子さんは海外に、島谷さんはあれから2年でいきなり社長!になっちゃったけれどこのお二人は今回は置いておいて、ちよ子の進学or就職?にスポットを当てたのはよかったね。
谷田部家の現在の家計、そして将来のことを考え、成績優秀で本当は大学に行きたいのに「行かないよ、私・・・」。自分が働いて少しでも家計を助けて親孝行したいというちよ子にお父ちゃんは
「子どものころ、覚えてない」
「だからもっと親を困らせてくれ」
「もっと親を味わせてくれ」
「もう少し子どもでいてくれ」
こんなセリフ言われたら、現実的かつ総合的に講釈垂れたちよ子もしあわせすぎて何にも言えなくなっちゃう・・・でもちよ子は言った。
「迷惑かけます!」
「よろしくお願いします!」
よぐ言った!ちよ子!来年はちよ子もイバダイ生!
でもちよ子が進だけのけ者にしてみんなに呼び掛け、進がふくれたのを受けて
「じゃ、進も・・・」
「じゃってなんだよ~」
これは受けた。
この大事なシーンでヒデさんがちよ子の気持ちを察して言った「いちばん大事なのは本人の気持ちだから・・・」がよかった。もう立派に谷田部家の一員なんだ、ヒデさんも。お父ちゃんはヒデちゃんなんて呼んでるし、じいちゃんとも仲よぐなって、ヒデさん本当にいい感じ。でも、自分から嫁さんの実家に行こう~なんてステキなダンナさんだね、みね子。
このテーマのシーンで一番こころに突き刺さったセリフはやっぱりコレ
「みんなが子どものころ、覚えてないんだ・・・」
やはり記憶は完全には戻ってなかったんだ、お父さん・・・
でも、無理に記憶なんて戻らなくてもいい、このままでもじゅうぶんにしあわせなんだから。毎日、生きていけんだから。それでも、みんながいるんだから。もう立派にみんなの「お父ちゃん」に戻ったっペ!
「昔は昔、今は今」
世津子さんお父ちゃんも、戦争で旦那さんを亡くした愛子と奥さんを亡くした省吾さんも、そしてインパール作戦に従軍した宗男おじさんだって「いま」があるんだから。
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「何でもないような事が幸せだったと思う~♪」by高橋ジョージ
『ひよっこ』では、「お父ちゃん、お母ちゃん」だったのが今回『2』では「お父さん、お母さん」と呼び方を変えたみね子・・・そんなみね子が「お父さん」に呼びかけるセリフ~
「相変わらずの日々送れるって、しあわせなことですね。」
「ここで生きていることが不思議な感じがします。」
「だって、東京に来たのはしあわせな理由でなかったから・・・」
これもまた、実に奥の深いセリフ。いまの自分の幸せは、過去にお父さんが東京でたいへんな目に遭った、その犠牲の上に成り立っている(お陰だと)のだとみね子は感じているのかも。お父ちゃんがあんな目に遭わなければ、当然みね子と島谷さん&ヒデさんとの出会いもなかったし、もちろんすずふり亭とも巡り合うことはなかった。だってすずふり亭との縁はお父ちゃんがつくってくれたものなんだから。
人の不幸の上に成り立つしあわせ・・・
そして、その「不幸」が本人、まわりにさらなる不幸を呼び寄せる場合もあるという恐ろしくも厳しい現実・・・
しかしみね子のお父ちゃんの場合は
「災い転じて福となす」「不幸中の幸い」ということわざがピッタリ!
だって、お父ちゃんにはあんな目に遭っても、こんなしあわせな家族がいつも側にいたし、そしていまもいる。そして、あんな目に遭ったからこそ家族の絆が一層強まった。だからみね子はみね子で思いっきり幸せになっていいんだよね。
いろいろあって人生、いろいろあるから人間・・・しかし、それでも人は生きていく。
そしてラストシーンはやっぱり幼なじみトリオの踊り&決めポーズ! 『ひよっこ』ラストと同じでありがとう。なにかを目指してひたすら頑張っているトッキーのような人ももちろんスゴいけど、別になにかを目指しているわけじゃない、毎日一日一日を精一杯生きているフツーの人にもまた「がんばって!」って応援したくなるから『ひよっこ』は本当に不思議。
あのイチローさんも言っていた。
小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。
みね子もいままでみね子なりにみんなのため自分のためにがんばってきたから、いまのとんでもないラッキーがあるのかも。ちょっと解釈は違うような気もするけどまあいいや。イチローさん許して。
それにしても「がんばっぺ!」っていい言葉だね。人に「がんばれ!」っていうんじゃなく一緒に~って感じでなんだが元気が湧いてくる!
みんなも一緒にがんばっぺ!
『ひよっこ3』、乞うご期待!!
「春ラ!ラ!ラ!」詞 伊藤アキラ 曲 森田公一 歌 石野真子