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高校生が退学になるとき!学校の事情と生徒の言い分!~退学の持つ意味とその重さ~ 

投稿日:2017年6月2日 更新日:

~ 息子が喫煙で一発退学処分になりました。もう既に「決定事項」で覆すことはできないそうです。何度も何度も喫煙で指導を受けていたのであれば仕方ないとは思いますが息子ははじめてです。どうにかならないのでしょうか?~ 母親からの緊急の切なる相談であった。小中学校、特別支援学校と異なり、高等学校では「懲戒」という最も重い処分、「退学」を選択することもできるのです。場合によっては・・・私の教師時代にも、これまで退学処分により少なからず生徒が学校を去って行きましたが、果たしてどのような場合に学校は退学勧告、もしくは退学処分とすることができるのでしょうか?

学校によってありすぎる生徒指導裁量の幅

ほんとうのところ、、公立学校では各学校で内規により相当幅がありますし、私立高等学校では複雑かつ、独特でさらに幅があり、より厳格な傾向にあると言えるでしょう。

理由は簡単です。私立学校の場合、生徒、学校の悪評はその学校のこれからの募集にモロ影響を及ぼすからなのです。私立学校勤務時は、年に何回も行われる学校見学会、体験学習、各中学校に出張しての募集説明会~と私立高等学校は生徒募集に生き残りをかけて必死なのです。

生徒の在学中、出口(進路等)などで実績を上げ、特色を打ち出していかないとお客様である生徒が来てくれないのです。生徒指導に時間をかけている暇など本当はないのです。

 

退学処分を下すことができる場合

学校が懲戒として下す退学処分は実は「学校教育法施行規則」にきちんと書いてあるのです。

①  性行不良で改善の見込がないと認められる者
②  学力劣等で成業の見込がないと認められる者
③  正当の理由がなくて出席常でない者
④  学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者

~と書いてあるだけで、これをベースに学校それぞれに生徒指導にかかわる内規は決められ、時には見直されることもあります。だいたいは分かったような感じですが、何となくわかったようなわからないような、そん感じかもしれませんね。

簡単に言ってしまいますと、

今まで指導に指導を重ねてきたが、もうこれ以上無理!

改善の余地も見込みもない!

これしか方法がない!

という場合のみ許される最終的選択、処分ということなのです。

待ってください!

学校としては「ハイ、さよなら!がんばってね!」で済むかもしれませんが、本人、生徒としては学生と言う身分が剥奪されてしまうというとてつもなく重い処分なのです。

自主退学と懲戒退学(強制退学)とは処分としては全く性格の異なるものですが、いずれにしても生徒にしてみれば学校を去らなければらない、学生の身分を失うという点では同じことなのです。

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なぜ、退学で問題が起きるのか、そして納得できないのか?

先程の相談事例も詳しく話をきいてみますと、確かに喫煙での指導ははじめだったのですが、喫煙同席、生徒間暴力、対教師暴言と指導歴がかなりあったらしいのです。当該校も苦渋の決断であったに違いない、と思いたいです。

~となぜこんなファジーな言い回しをするのか~とイライラするかもしれませんが、ここに学校裁量による「懲戒権の乱用」とまではいかないにしても、生徒指導の「あいまいさ」があるからなのです。

「学校は、先生方は最後までよく面倒みてくれました。これ以上迷惑をかける訳にはいきません。御世話になりました。」~とみなが納得して、最後に握手して、さよならとなるときとそうでないときとが当然あるのです。

人格形成上の発展途上であるこどもであることが十分に考慮されたか?

本当にいきつくされた指導、議論がなされたのか?

最後に御情け、これ以上の教育的配慮はもう期待できないのか?


教師は最期に以上のことをもう一度考えてみなくてはなりません。自分が担任であろうがなかろうが、同じ学校で預っている大切なこどもに変わりはありません。

特に親御さんは最後まで諦めきれません。当然ですね。可愛いこどもの一生問題なのだから。

もし、どうしても自宅謹慎、学校謹慎などの処分ではなくほんとうに「自主退学勧告」「懲戒退学」になってしまった場合は、残された最後の手段は法律の専門家に相談すること。

これしかないのです。

一旦職員会議(その前に生徒指導部会で練られる)で決定事項となってしまった場合には覆すことができないのです。議事録としてきちんと残されてもいます。

法律家に相談して、先述の学校の「懲戒権の乱用」ということでその処分の撤回を求めるのである。これは、「懲戒権の乱用」にあたるか否かが争点になりますが、しかし、こうしてまで退学処分の撤回を勝ち得たとしても、とてつもない時間と労力をかけた上にお互いに疲れ果て、果たしてこどもは笑顔で再び学校に戻れるでしょうか?

何も選択肢はひとつだけではないような気もするのですが・・・

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私の生徒の退学例

高校生の担任になってはじめにしなくてはいけないことは、クラスのルールづくりですが、同時にどういう場合に生徒は退学になるのか~をきちんと実際例を出して生徒に話す、これもまた大事なことなのです。

実際、私が受け持った生徒も「懲戒退学」処分と「自主退学勧告」処分を受けました。2人それぞれ想い出深い生徒たちでした。

これらの厳しい処分が下される前に、次こういうことをしたらこうなりますよ~と必ず前段階、予告はあるのです。一発退学処分など、相当大きな刑事事件とかにならない限りあり得ないでしょう。

一人目のケースです。男子生徒「バイク運転、同乗」を何度指導しても私のこころが届かずして止めさせることができず、バイク乗りたいから自分からやめる~と生徒から来たのですが、学校は自主退学を認めず、学校の処分として「懲戒退学」を選択しました。

生徒も「仕方ないな、ハクがこれでついた!」~などといきがっていましたが、仕方がないと思える半面、もっと他に何かしてやれなかったのか、方法が他にあったかもしれない~と諦めきれない部分もたくさんあった苦い想い出・・・

バイク以外は本当に素直で明るく男女問わずみなから好かれていた生徒だったのですが、バイクに尋常ではない興味を寄せていたこどもだったのです。一時期、バイクの魅力をさぐろうと本気で免許取得まで考えていたが取得途上で頓挫、私の本気度がその程度だったせいかもしれません。

二人目、女子生徒「不純異性交遊」妊娠が発覚し、「自主退学勧告」

これは入学時からきちんとはなしていたので問題ありませんでした。卒業間際であったのに本当に辛かったです。何とか学校にばれないように~とそのまま家庭ぐるみで乗り切ろうとしていたのがもっと辛かったです。

しかし、本人の希望と学校の配慮で卒業アルバムに本人を載せることができたのは嬉しかったですね。

見せしめ、指導放棄としての懲戒退学

これについては話せません。教員はその身分でなくなった時でさえ、守秘義務というものがあるからなのです。職務上知り得た秘密を守らなくてはいけない義務があるのです。

でも、実際ほかの生徒へのみせしめ、そしてその後の指導のやりやすさから、こうした「みせしめ退学」が行われていることもまた事実です。

職員会議で最終判断が下される直前、担任がもう指導不可能とした生徒について学校長が「退学処分といたします」と宣告する前に、私が挙手し、その生徒に対する自分の思いを話したことがあります。

担任であったわけでもなく、教科で教えていたわけでもありませんでしたが、なぜか悲しくなり話してしまったのです。もう余地が残されてはいないのは頭では分かってはいましたが、誰もその生徒に対して議論をしないで「退学」させてしまうのではあまりにもその生徒が可哀そうに思えて仕方なかったからなのです。

一人くらい何かその生徒のことを話してあげてもいい~そんな思いに駆られてなのです。

職会が終わって学校長より「ありがとうございました。」と言われたときはどう受け取っていいのか分からず、しばらくその場に立ち尽くした記憶があります。

記憶といえば、私の教師時代「職員会議」で一番記憶に残っているものがありますので紹介しましょう。

おなじく「懲戒退学」が女性担任ただ一人の反対のみで、職員の総意として決定され、学校長が「退学」の処分を下した後も、この女性教員が涙を流しながら手を上げ続け「退学反対」「退学反対」と叫び続けていたのです。

生徒に対する愛情があふれていた教師で、この生徒にも指導を尽くしていたのは傍目からみても分かっていました。私より年下の若い教師でしたが、彼女に何か崇高なものを感じました。

私は生徒のためにあんな涙を流せるか?

当時、自問自答し深く考え込んでしまった~そんな記憶があります。

そして結論

退学処分は最終の本当に最終の究極の選択としてあるべき

一生背負わなくてはいけない十字架

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