教育・教師 生徒へのメッセージ

通信制高校のデメリットをメリットに変えるのは自分!元教師が語る通信制の実態と注意点






公立校勤務時代、卒業を待たず学校を去っていった生徒たち。自分と学校の無力さを思い知らされる一番辛い出来事。彼らが中途退学後、その多くが通信制高校へと編入、転入もしくは入学(入り直し)します。

今の時代、通信制高校のシステム等、詳細については検索すればだいたいの情報を得ることができるので、ここでは触れません。実際、通信制高校に勤務してみて、その自由度、幅の広さには驚かされましたが、今回は生徒サイドからみた数々のメリットについて私が実感したことを紹介しましょう。

①高校生活のやり直し&青春よ、もう一度!が可能

最近の調査では、中学を卒業後、即、通信制に入学する生徒も多いようですが、その多くは高校を中途退学してからです。不登校、いじめ、引きこもり、鬱(うつ)等、様々な事情、環境を抱え進学してくるのです。そういった過去を抱えたもの同士(志)であり、人の痛みを理解しているものも多いので「いじめ」等の問題は起きにくいのです。

以前の通学制の高校の時と打って変わり、たくさんの友人に囲まれ卒業していく生徒も多いのが事実です。一方、自分の世界に入り込み、最低限の出席日とスクーリングのみしか決して学校には顔を出さず、卒業していく生徒も当然います。一人の自由もあるし、ツルむ自由も約束されているのです。

人を傷つけたり、迷惑をかけない限り、その個性もまた尊重される世界です。(もちろん、必要最低限の校則はありますよ。)

最低限の出席日数でクリアしようとしている生徒は、「高校卒業」という資格にこだわり、毎日のように登校してくる生徒は「仲間との高校生活」という想い出づくりに忙しい日々を送っています。

それぞれが、それぞれのペース、環境で「高校生活」を送ることができるのです。それは学年制だけでなく、通信制のそのほとんどが「単位制」を採用しているから可能なのです。その自由と引き換えに、「責任」もいっしょに付いてくることも忘れてはいけません。自分でペースを決め、生活も含め自分を律することができなければ、まず卒業までは漕(こ)ぎ着くことはできないでしょう。

全日制の担任のように、何から何まですべて面倒見てくれるなどとは最初から期待しないほうがいいでしょう。




「中退 高校」の画像検索結果

②理解ある学校、教師。そして近い距離・・・

先にも言いましたが、生徒のいろいろな事情は学校、教師がはじめから理解しています。サポート校の教師も含め、そういった生徒の心に添うよう努力している教師が多いように感じたのは事実です。通信制高校もまた、教師にとっては多忙であることには違いはありませんが、「待つこと」に慣れているのです。

学校にももちろんよるでしょうが、待つことをせず急がせたり頭ごなしに怒鳴ったり~のような余裕のない教師は私の勤務校にはおりませんでした。

時には生徒のためならば、心を鬼にして「叱る」こともありましたが、怒鳴るなどのように自己の感情に任せて「怒る」ことなどはなかったですね。生徒それぞれみな事情があり、置かれている環境もまたさまざまです。

それならば、付かず離れずの距離にいて彼らの自主性に任せ、ここぞという必要な時に必要なアシストやフォローを与えた方がみな生徒のためになると信じているのです。

そしてこれは学習面においても同じこと。すべて手取り足取り~などと期待してはいけません。通学型のコース選択生徒であっても、メインとなるのはあくまでも自学自習スタイルです。自らがアクションを起こさない限り、何も始まりません。

自分で取り組んで壁にぶち当たった時に初めて教職員に当たるのです。このような時、教師は「待ってました!」と言わんばかりのアドバイスを与えてくれることでしょう。このように、卒業の意欲、そして継続的、地道な努力さえあれば、必ずだれでも卒業できるのです。卒業「させる」よう、導くプロが、通信制高校教師なのですから。

そしてチェックすることを忘れていけないのは、在学生の卒業率です。通信制高校であっても再び退学の道をたどる生徒も当然おります。学校によってかなりのバラつきが当然ありますが、こういったことを最初のガイダンス時に包み隠さず教えてくれるようなところは非常に良心的で信頼できる学校と言えます。

また、生徒と教師の距離が近いのも通信制高校ならではの特色です。相談事は担任に~などといった全日のような不文律なんかなく、みなそれぞれ話しやすい相談しやすいお気に入りの教師に相談する傾向がありました。

教師サイドも生徒を丸抱え、独り占めするのではなく、開放的でいつでもどうぞ!~って感覚で常にドア全開で生徒を待っているのです。それは最低限の礼節は求められて当然ですが、生徒同士も教師との関係も変な垣根などなく、ほんとうにオープンでしたね。



③アルバイト、仕事持ちも当然OK!

通信制高校の学習は、それなりに自分、誘惑との闘いになります。その一方、全日通学制の高校生のように決まった時間、ガッチリと学校に拘束されずに済むのです。半数程度は何らかのアルバイトに従事しています。

学校~家庭と狭い同線を行ったり来たりするのではなく、社会、社会人とも関わることができるメリットは将来のためにも大きいでしょう。しかし、その分当然ですが、自己管理がたいへんなのです。アルバイトにのめり込むあまり、学業が疎かになり再びドロップアウトせざるを得なくなった子どもたちも見てきました。

学習面、学校生活面でもそうでしたが、管理、縛られるものが少なくなった分、自分で自分を律することが求められる学校なのです。

「arubaito」の画像検索結果

④多種多様なスクーリング

これまた学校によって本当にさまざまです。そして通学型、短期集中型、合宿型などのいろいろな型から、自己のスタイルに合った選択が可能なのも通信制高校ならではです。

中には「できるだけスクーリングには行きたくない!」という生徒もいるでしょう。スクーリング自体を「ゼロ」にすることはできませんが、可能な限り少なくすることは可能です。スクーリングが必修となっている選択科目を選ばなかったり、スクーリングが必修である科目も面接授業の代わりに動画配信などの授業を選べる通信制でしたらスクーリングの時間はどんどん少なくなっていきます。

しかし、全日制の高校に通っていたならばおよそ体験できないようなスクーリングが体験できますよ。私が勤務していた高校では地域住民協力の下、郷土料理作成、ソバ打ち、アート、地域探索、墨づくりなど様々なイベント、そして学習旅行、体験旅行を実施していました。座っての一方通行の授業からは得られない、教師と生徒が体感・共感できる時間がそこにはあります。

スクーリングにもまた選択の自由度が約束され、自主性が求められているのです。

⑤様々な学びの型、コースがある

公立の通信制高校は各都道府県に1つ以上ありますが、私立民間の通信制高校は150校にも及びます。私立の通信制高校の多くは生徒の希望に応じ、様々なコース制を設けているところがほとんどなのです。

高校卒業を目的とせず「高卒認定試験」に特化しているコース、大学進学を目的とした進学コース、そして様々な資格取得のためのコース、アート、音楽、福祉等の専門に特化したコースなど本当に学校によってほんとうにさまざまです。むしろ私立の通信制高校は、そうやって何らかの特色を打ち出していかないと、生き残っていけないのです。

公立の通信制にするのかそれとも私立通信制高校か?私立であればどこを選ぶのか?じっくりと見極めなければならないのです。

「通信制高校」の画像検索結果

 

⑥お一人様大歓迎!

先に話しましたが、みんな仲良く横並びといった雰囲気はあまりありません。様々な生徒が存在しますし、一人でいる自由ももちろん尊重されます。勉強だけして卒業したい!という生徒にもピッタリかもしれないですね。ただ、最初はそうであっても、不思議なもので似た者同士が仲良くなっていくものなのです

ここには、全日制のような先輩後輩とか何でもかんでも横並び~なんてことはほとんどありません。単位制を取っているので同じクラスにいるから同い年なんてことは、必ずしもそもそも成立しないのです。土台、入ってくる段階でさまざまなな年齢からスタートしていますし、年齢差、性差、それぞれの違いをみなまとめて受け入れる懐の深さがあるのです。

こういった一種独特のおおらかさは、全日制などの堅苦しい人間関係に悩んできた生徒には新鮮に映るでしょう。さまざまな年齢層の雑多な人種が集まる通信制は面白いですよ。




「ひとりぼっち」の画像検索結果

 

デメリットをメリットに変えるのは自分!

以上見てきたように様々な特色、魅力にあふれる通信制高校ですが、当然いいことばかりではありません。

まず、自己管理ができないと大変!自分の生活を自分で管理、律し綿密な学習スケジュールを立て、実行していかなくてはいけません。勿論、学校のサポートアドバイスもありますが、すべて手取り足取りというわけにはいかないのです。

入学さえすれば、あとはすべて自動的に学校の指示に従えばよいというわけでは決してありません。サポートアドバイスも自らが求めて学校、教師にしていく自主性が求められるのです。このことを逆手に取っていっそのこと自主性を身につけるいい機会としてしまえば良いと思います。意志に実行が伴えば、必ず卒業できるのですから。

また、通信ならでは特色を逆手に取って、さらに自分の自由な時間を作り出すことも可能です。単位を最初のうちにできるだけたくさん取得して余裕を持たせ、自分オリジナルな活動を展開している生徒も見られました。

一方、生徒の見た目ですが、服装、髪型、髪色も基本自由であるので本当にいろいろ。最初、入学してきたばかりの生徒は金髪のあまりの多さにビビッてしまいがちですが、心配はいりません。彼らの多くは、見た目は派手かもしれませんが、いわゆる不良なんかではなく、ほんとうに普通の生徒。

学校により、この問題は実に様々ですので、キチンとした生徒指導を行っており、授業が成り立っている通信制高校を選択すべきです。大切なお金を無駄にしないためにも、学校見学、体験入学もおすすめではありますが、一番のおすすめは「アポなし見学」です。

これをやって、スンナリ実際の授業風景や職員室を見せてくれるところは安心してよいでしょう。全日に通っていれば、およそ知り合いになることはまずない、人種人間と友人になれるチャンスととらえてみてはどうでしょうか?

関連画像

次に、これは主に私立の通信制高校の話になりますが、通信制高校のみで卒業するには以上のような困難が伴うので、多くの生徒はサポート校を利用することになります。利用するさまざまなメリットはありますが、やはり学費が嵩(かさ)んでしまうのです。この問題をクリアできるのであれば、大いにサポート校は利用すべきです。上で見てきたような様々なメリットがあるのですから。仲間とともに刺激を受けながらの高校生活は何ら「普通」の高校と変わらないでしょう。

ひとえに通信制高校と言ってもこのように私立、公立、広域、狭域~とさまざまなタイプが存在し、授業料をはじめかかる費用にもかなりの差があるのもまた事実です。こちらでは詳しくは触れませんが、先述のサポート校のぶんの授業料などは就学支援金(後述)などが使えず全額自己負担となってしまうなど選択の前に十二分の下調べが必要になってきます。

いずれにしても、学校選びの段階からすでに自身の自律的な行動が求められているのは間違いありません。

現在では、全国通信制高等学校評価機構が通信制高校の第三者評価を始めており、認定を受けた学校もあります

全国通信制高等学校評価機構 第三者評価結果

*就学支援金…年収約910万円未満の世帯に対して、年額11万8800円が支給される(実質、授業料無償)。私立の通信制高校については年収約590万円未満の世帯に対して年額29万7000円が加算される。生活保護や住民税非課税世帯は「高校生等奨学給付金制度」も併用できる。

最後になりますが、「通信差別」について話しておきます。今の時代「通信制高校」だろうが「全日、定時制」だろうが、出たところで差別されることはないし、土台差別の意味がありません。通信制出身を恥じることは一切ないです。むしろ、自分で敢えて通信制を選び、苦労して卒業したことは、立派なことであり、アピールポイントとなるのです。

そして、通信制高校卒業が最終の目的であってはならないのです。卒業後を見据え、入学前より、さまざまな角度からの学校選びの研究、検討が必要になります。自ら情報を求めれば今の時代、即得ることができるのですから。しかし、その情報を吟味し、結論を出すのはあなたにしかできないし、あなたがしなくてはいけないのです。まずは、自分の目で見、自分の耳で聞くという行動を起こすことです。

スポンサーリンク

そして、結論!

通信制高校も立派な選択肢の一つ

しかし、その質、特色も実にバラエティに富んでいる!

だからこそ、まずは、自らの眼と足で現実をしっかり見極めることが何よりも大切!

自分で、通信のデメリットをメリットにする!

求めよ、さらば与えられん!

「ambitious」作詞 松井五郎 作曲 箕輪単志 歌 HOUNDDOG 大友康平











-教育・教師, 生徒へのメッセージ

© 2024 ユメザス〜人生すべてネタ!ユメをメザスあなたのためのユメザスネット!〜 Powered by AFFINGER5