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教員採用!「通信制高校」という選択とその実態~一長一短~

投稿日:2017年10月6日 更新日:



教師をめざすみなさん!公立私立学校、塾、フリースクールなどの選択肢以外にも、実は人によってはおすすめな学校があるのです。それは「通信制高校」なのです!今日は私の通信制高校勤務の経験から、その魅力とたいへんなところ、そして勤務実態について話していきます。

まずは、職場環境、生徒の実態、勤務形態は?

まずはじめに「通信制高校」という学校がどういうところであるのか?これを何も理解せずに入職、就職しますとはじめは面喰らうことでしょう。おぼろげなイメージはもちろん湧くでしょうが、そのイメージと実際、現実のギャップがありすぎるのです。私がそうでした。

通信制高校がどういうところであるのかのガイドラインは、生徒向けに前に「通信制高校のデメリットはメリット!」でちょっと詳しく話しましたので、ここでは触れません。今回話すのは、あくまでも教師の勤務先として通信制高校の実態です。

通信制高校といいましても、当然公立と私立(民間)があり、サポート校等ではなく通信制高校、本校に教師として入職したいのであれば当然、教職員免許が必要になってきます。そして、あくまでもサポート校は塾等の扱いですから、通信制高校本校とサポート校勤務とでは、その勤務実態も異なってきます。ここでは、通信制高校に限定して述べていきます。

①教 師

生徒のほとんどが、不登校もしくは退学となったものが多いように、教師もちょっとバラエティにとんでいます。私は長年勤務した公立高校を退職した後のわずか1年の勤務でしたが、私のように公立私立からの転職組、そして教採くずれ、もちろん新卒新採の若い教師も当然もおります。

人間関係も公立高校よりはかなり濃密でした。職場の特殊環境がそうさせるのでしょう。そうなっていくしかないのです。種明かしはこうです。公立等の学校であれば昼間は授業、放課後は部活、やっと夜になって事務仕事~気付けば深夜~というように息つく暇もないほどベルトコンベアに乗せられてタイムスケジュールどおりにすべてが進みます。

余りにも目まぐるしく、他の教員と話す機会などは職員会議の時などしかほとんどありません。しかし、通信制高校の場合、生徒は毎日学校には来ないのです。もちろん、毎日登校しても構わないのですが、ほとんどの通信制高校は登校日を決めており、その日に必修、選択科目の授業を生徒は受けることになります。自ずから生徒と向き合う時間よりも「事務作業」、それも教師同士が協力しあっての作業がほとんどとなります。

このように比較的、濃い教師同士の人間関係が出来上がるところが通信制高校のいちばんの特色かもしれません。想像が付くでしょうが、こじれるとたいへんですよ・・・

また、私が勤務した高校は比較的、横並びの職階制ではありましたが、聞くところによりますと一部の大規模通信制高校などでは、タテ社会とききます。公立高校のようにほとんどすべてが同じヒラではなく、同じ通信制高校であってもさまざまであるということです。このように純粋に生徒、こどもと触れあう時間が欲しいと望むのであれば慎重に考えたほうがいいかもしれません。

むしろ、不登校、ダメージを受けた生徒と真剣に向き合いたいんだ~という人は向いていると言えるかもしれません。

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②生 徒

公立時代の12年間以上はいわゆる「教育困難校」ばかり渡り歩きました。ちょっと元気がある生徒ばかりといつも一緒でしたので、通信制勤務当初は拍子抜けでした。あくまでも私の勤務校での話になりますが、とにかくおとなしかったです。

正職に就いているものはゼロ、バイトパート勤務が4割程度、残りは無職です。週に何度かの登校なのでまずは、生徒自身に自己管理能力を付けさせることから始まります。レポート等の管理も教師側だけが一元的に管理するのではなく、生徒自らできちんと把握しておけるよう丁寧に指導しなければならないのです。規則正しい生活に慣れていない生徒も少なくなく、ある意味公立等よりも最初は手取り足取りになるかもしれません。

また、生徒指導面ですが、ご存知のように服装、ファッションすべてOK!です。公立時代は自分の考えにそぐわない校則も、全体で決めたことですから当然従い、指導はしてきましたが、そのストレスからはすべて解放されました。

ある意味、こういった生徒指導にこれまで持っていかれていた時間が、ここでは彼等と向き合う時間にあてられるのですから、この部分は実にありがたかったです。そして、一応制服はあるのですが、着用は生徒にすべて任されています。たばこを吸わない限り、ピアス、リング、化粧何ら問題ありません。

実は、いちばん気を遣わなくてはいけないのは生徒の安全に関することなのです。つまり、自動車バイク関連、そして彼等のバイトパートの把握指導なのです。そのため、公立私立と同じように運転免許取得および運転は許可制にしておりますし、勤務先は届け出制に場合によっては生徒の職場に出向いたりもして生徒の実態把握に努めているのです。

③勤務実態

はっきり言いまして離職率はかなり高いと言わざるを得ません。あくまでも、私の勤務先に限定したはなしになりますが、勤務した1年間に実に10名以上の教職員が職場を去って行きました。本校勤務40名ほどで、この数字は尋常ではないと思います。

何がそうさせるのでしょうか?いちばんは、やはり、やりがいがあまり感じられない、生徒と触れあう時間が少なく事務仕事がかなりのウェートを占める~といった事ではないでしょうか?教師という仕事を選んだからには、苦労は厭わないはずです。

でも、やはりそのやりがいというものが、感じにくい職場であることは完全に否定はできません。人によって求めるものはさまざまでしょうから、その分、慎重に且つ熟慮に熟慮を重ねた上で決断したほうがよいかもしれません。

④営 業

公立の通信制高校でない限り、生徒募集の呪縛から逃れることはできません。御客様である彼らが入学、転入編入してくれない限り学校は立ち行かないのですから。近隣の高校すべて、もちろん行きました。かつての勤務校に営業に行って昔の同僚と話した時は、時の流れを感じたものでした。

私がいた学校では営業専門の正職員が3名いて、日々の朝礼・終礼(があるのです)で日々の結果報告がなされていました。2回も報告というところがすごいでしょ。終礼では一日かけて回った学校と手ごたえ、これからの戦略などをスピーチし、翌日の朝礼では、これから一日かけて回る学校の紹介と意気込みを述べさせられるのです。

営業職員でなくとも、各学年から営業要員として3名ほどが駆り出され、営業専従の補助スタッフとして自分のこれまで縁のあった学校などを中心に宣伝して回らされるのでした。

実は「営業先」は何も高校だけではないのです。そうなのです、中学校もまたメインターゲットなのです。長欠、不登校で学校から遠ざかっていた彼らの次の道として、子どもたちにすすめてもらえるよう営業するのです。

その他、問題行動などがあまりにも多すぎて、どこの高校でも「学校間取引」で受け入れてくれないような粗暴な生徒も立派な「お客様」になります。生徒も教師もかなり濃いキャラクターが集まる訳がなんとなく分かります。

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通信制高校ならではの醍醐味!があるんです!

これまで、どちらかと言うと大変なことばかりが多くて、みなさんの中には「やっぱり、やめた!」という方も、もしかしたらいるかもしれません。でも、ちょっとだけ待ってください。物事何でも一長一短あるように、実は「通信制高校」ならではの魅力もあるのです。それは生徒の多様性といった魅力以外に、一発勝負、一瞬に賭ける~といったことなのです。

これまで話してきたように、生徒は毎日登校してくるわけではありません。そのため、彼等と生活を共にする時間はとても貴重なものとなります。そのために準備に準備を重ねる時間が比較的取れるのです。

授業の準備だけではなく、彼らの生活や将来の話をするための準備、リサーチに時間をかけるのです。かけられるのです。もちろん担任制は敷いてはありますが、比較的そういったことに拘らず、自由に教師生徒ともども、ウマの合った者同士が惹かれあうようです。

また、全国に多数存在するサポート校を取りまとめをする通信制高校本校になると、スクーリングのため毎週のように全国各地からはじめて会う生徒が多数、集まってきます。何度か来ていて顔見知りになる生徒も当然おりますが、はじめて会う生徒もかなりおります。

宿泊を伴うスクーリングですと、数日間彼らといっしょに寝食を共にし、公立時代の修学旅行のような雰囲気のような違うような、一種独特の雰囲気です。

彼らとの時間は、ほんの一瞬です。この一発の授業でどれだけ彼らのこころをつかませようかという努力は、かなりの勉強にもなりますし、チカラになります。公立学校のように1年、1学期といった継続を前提した授業ではないのです。ある意味、かなりの人数の生徒と接触の時間が持てるのです。

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そして忘れてならないのが、通信制高校特有の事実と言えるのが、さまざまな事情を抱えた生徒が多いということです。この事実をどう受け取るか、それによって選択は自ずから決まってくることでしょう。

不登校でほとんどこれまで学校に行った経験がない子どもたち、人間関係に悩みこころに深い傷を負った子どもたち、あえて自由を求めて中学からダイレクトにしてきた子どもたち・・・みんなみんな失われた青春を取り戻すのに一生懸命です。

そして、自分のこれからについて真剣に自らで考えていかなくてはならないのですから、否が応でも自律的になっていきます。

みんな同じ高校生であることに何ら変わることはありませんが、普通?の高校生とはまた一風異なった、実にアジのある生徒も多いです。教師としての自分の志に近いものが、その通信制高校にもしあるのでれば、選択肢の一つに加えてもいいのではないでしょうか?

勤めようとする通信制高校の慎重なリサーチが欠かせないワケ

ただし・・・という条件がつきます。ご存知のように一口に「通信制高校」と言っても公立から塾などが経営母体の株式会社立通信制高校までほんとうにいろいろありすぎです。当然、すべてにおいて違いがありすぎです。

当然、入職しようという候補の念入りなリサーチは欠かせないものとなるでしょう。学校と言う職場の性格上、最低でも一年間は勤めあげなくてはなりません。入ってイヤになったから、明日からさよなら~とはカンタンにはいかないのです。

ましてや公立学校のように、ちょっと我慢して異動すればいいや~などとは問屋が卸さないのですから、学校選びは慎重にならざるを得ないでしょう。

※今回はあえて待遇面の詳細は控えました。ご存知のように公立以外の通信制高校の待遇はほんとうにさまざまです。天と地とほどの差があるといってよいです。正規職員はわずかでほとんどは非正規採用のところもあれば、すべて正規職員で揃えているところもあります。待遇面だけでみれば、長いスパンで考えても考えなくとも、まず間違いなく当然公立に軍配が上がるでしょう。

現実的な実際のお金の話も大事なことですからちょっとだけ話しましょう。私の場合、公立高校退職時に7,500,000円ほどの年収(税込み手当含み)でしたが、私のお世話になった通信制高校の初任給月額は230,000円程度でした。月収、年収ベースともに思いっきりかなりの下落率です。当たり前と言えば当たり前ですが。

私は「契約社員扱い」で入職しましたが、これに加えて業績に応じて(査定が入るのです)、賞与、昇給が約束されていました。そして教育公務員時代にはおよそ考えられなかった「時間外手当」が付いたのです。

上長(じょうちょう)、学年ユニットでいえば学年主任のようなものでしょうか・・・とにかく上司の許可をもらって残業することになると「1時間当たりおよそ3,000円の時間外手当」が付きました。いつもいつも認められる訳ではありませんでしたが、どうしても必要な時などは上長の裁量でかなりフレキシブルに運用されていました。

また宿泊を伴った勤務の場合は、当時1日当たり15,000円が付いたり、住居手当が家賃の半額補助されてもいました。(上限40,000円)おまけに公立の時と同じように宿泊を伴う研修、出張などの費用はすべて「会社負担」、そしておよそ考えられなかったのが、飲み会(全体のです、もちろん)、全体での旅行年に数回などこれらが交通費、宿泊費などすべて会社負担だったのです。

私がいたところは全組織でみると相当な大所帯の株式会社でしたので、このように待遇面では申し分なかったのかもしれません。

教職と言う仕事は、待遇だけでははかれない実に奥深いものであると信じます。しかし、生きていく上ではお金は付き物・・・多いに越したことはありません。食べていけて、ここにいられるのであれば何もいらない~といった神様のような教師もいましたが、衣食足りて礼節を知る・・・です。

しかし一方、教師と言う身分を維持・持続させるにも本当にギリギリの給与しか与えることのできない通信制高校も実に多いのです。試しに「通信制高校 常勤講師 募集」などとググッてみてください。

総支給額180,000~200,000円で賞与一文もなし~なんてところが結構出てきますよ。自宅通でなら何とか切り詰めれば生活維持していけそうですが、自分でアパート借りたりしたら給与ぜ~んぶきれいに無くなりそうな感じですね。病気も怖くてできないです。

地方の通信制高校でしたら、当然クルマも必要でしょうが、もしかするとクルマも維持できないレベルです。

それでもあなたはこういった所でずっと勤めあげたいと思うでしょうか?下手したら、公立の常勤講師で長く勤めていたほうが、お金だけはいっぱい稼げそうです。しかし、公立は教諭ならともかく、非正規はあくまでも期限付き任用ですので一つのところに腰をじっくり据えて仕事に向き合えるという保障はどこにもありません。

そうなのです。何を一番にあなたが優先させるか?どこが自分の志にいちばん近いところなのか?

これなのです。

そして、ずっと最後まで勤め上げるつもりなのか? 次のステップのための腰掛職場を探しているのか? これらによっても学校選びはまた違ったものになってくるでしょう。

いずれにしても教師としての幅を持たせるためにも、人生の経験としても通信制高校でさまざまな人たちと向かい合った経験は貴重なものとなり、あなたの人生の肥やしとなることでしょう。

どこへ行っても、どのような学校に行くことになっても、子どもたちがいる限り我々のステージの幕は上がるのですから、恐れることは何もないのではないでしょうか?


そして、まとめ結論!

①通信制高校ならではの特色、メリットデメリットを十分理解した上で一度、職場体験、見学がおすすめ!

②これをいやがるような通信制高校はゼッタイ危険!

③どこでも生徒がいる限り、そこが学校!

④何を求めるかは人それぞれ!

⑤自分の内なる主人にきいてみる!

⑥待遇面だけを考えるのであればハナから通信制高校は選択肢から外れる!

⑦通信制高校勤務こそ、「天職」と言える人もいる現実!

⑧公立以外の通信制高校には、待遇面は期待できないかもしれない現実・・・




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