NHK朝ドラ

『ひよっこ』146話~あなたの過去など♪「知りたぐないの」~それぞれが秘める行き場のない想い~

♪済んでしまったことは仕方ないじゃないの♪ 菅原洋一さんの「知りたくないの」・・・


今の美代子さんの心もちにドンピシャ!って感じですね。

知りたくないの(昭和39年)
作詞: なかにし礼
作曲: ロバートソン
唄: 菅原洋一

 

あなたの過去など
知りたくないの
済んでしまったことは
仕方ないじゃないの
あの人のことは
忘れてほしい
たとえこの私が
聞いても言わないで
あなたの愛が まことなら
ただそれだけで うれしいの
ああ愛しているから
知りたくないの
早く昔の恋を
忘れてほしいの
今回も対比が見事です!実に鮮やかですね。お父さんの過去に向き合おうと、世津子さんの口から真実を聞きたいと願うみね子。そして、かたくなに自分の中に秘め通そうとする世津子さん。所は変わって奥茨城村・・・まじめすぎるくらい誠実な故に、話さなくてはいけないと思ってしまう実さん、そして「知りたくない」美代子さん・・・言ってしまえばラグになる、けど聞いてしまえばツラぐなるんですよね~

なぜ、世津子さんは過去を語らなかったのか・・・

病院の先生が言ってたんだけど、谷田部実さんの記憶が、戻ったとしたら・・・
今度は、忘れてしまうことがあるんだって
つまり、私との時間・・・を、忘れてしまうんだって

そうすれば、2人の時間が、あなたのお父さんを苦しめないし・・・
それに・・・あの時間が・・・
本当に私だけのものになる

そうなれたらいいなって、思ってる
ごめんね・・・

そこまで愛おしかった「2人だけ」の時間を、自ら手放してしまった世津子さん・・・みね子だから、実さんだから、そうせざるを得ない何かが彼女の心の中で働いたのでしょう。
もう実さんとの時間が戻ってはこない今となっては、みね子に語っても問題ないように普通は思われます。

世津子さんの気持ちにできるだけ寄り添って考えてみました。そこから浮かび上がってきたのはこういうことです。やはり誰かに話してしまうことによって、「2人だけ」「私だけ」の想い出、時間ではなくなってしまうことがたまらなくコワく、イヤだったのでしょう。いくらみね子であっても、彼女の譲れない最期の砦なのだと思うのです。もうひとつの考えられる理由は、みね子そして谷田部家のこれからを思っての彼女の優しさゆえだと思うのです。

いくら大人になったとはいえ、未だ真実を受け止めるには幼すぎる、刺激が強すぎると思ったのではないでしょうか?知らなくてもいいこと、知らない方がいいことってきっとあるはずなんです。そんな彼女の大人の心遣いだと僕は思いたいです。

上の世津子さんのセリフの「だけ」に注目してください。
2人の時間が「私だけ」のもの・・・ですって。決して「2人だけ」じゃないのです。
つまり、実さんの記憶が戻って、世津子さんを忘れることができれば、誰も苦しまず、苦しめずリセットとなり、世津子さんだけが時のわすれもののように取り残され、そこには「私だけ」の想い出と時間しか残らない・・・

悲しすぎます、切なすぎます。さらに追い打ちをかけるように「そうなれたらいいなって」、自己犠牲の極致ですね。想い出だけにこれからの彼女は生きて行くというのでしょうか?
繰り返しになりますが、実さんが実さんであるならば、世津子さんのことを放っておけるはずなんかありません。今はもう元の家族との時間が世津子さんと過ごした時間を追い越そうとしていますが、あれだけ誠実な実さんが、受けた恩を今のしあわせに埋めたままにしておけるなんて考えたくもありません。

Sponsored Link

しあわせは、誰かの不幸せの上に成り立つというエゴイズム・・・

せっかくの美代子さんと実さんのラブラブな、いい感じも世津子さんの心境を考えると、素直によかったね!何度もトキメけて、プロポーズされて~なんて思えないのです。確かに美代子さんから見たら、夫を奪い返した!になるのでしょうが、世津子さんからしてみたらどうでしょう・・・彼女の元には何も残っていないですよね。愛する人も仕事も無くし、住む所さえ追われている悲しき一人身。

早苗さんが、世津子さんを自分と向き合わせるために取った強硬手段は、やはり必要だったのです。それが分かっていたから敢えて切りだしたのです。

『ひよっこ』はお父さんと晴れて再会を果たし、めでたしめでたしの物語ではなく、そこからの再生がもうひとつのテーマになっていると思うのです。登場人物のそれぞれが、リバースを果たしつつある今、世津子さんも再生に向け、舵を切ってほしいのです。それには、実さんの力が必要かどうかは世津子さんでなくては分かりませんが、少なくとも、あのような別れ、そして今はあり得ないと思うのです。

誰が悪いわけではありません。誰も悪くなんかありません。仕方なかったのです。しかし、何事にも通さなくてはいけない筋であったり、けじめというものがあるはずなのです。終わり、別れもきちんと「終わらせたこと」にしないと永遠に終わらないでずっと後を引くのです。「なかったこと」になんかできるはずもありません。

知らなくてもいいことは確かにあるでしょう。美代子さん、みね子は知らない方がいいのかもしれません。けれど世津子さんが再生していくためにはきちっと終わらせてあげることが何により大事なのではないでしょうか・・・

あっ、いや・・・なんつうが・・・かわいいなあと思って
俺・・・

好きだ。美代子のこど
あの・・・女房だったからとが関係なぐ、そうじゃなぐて・・・
美代子のこどが好きだ
一緒に、生きてってくれっか?

こういうしあわせな「2人だけ」の時間が持てるようになったのも、世津子さんが自らのしあわせを手放したからこそなのです。
いまの実さんには、世津子さんはもう過去の遠い人になってしまったのでしょうか?
想い出だけのただの人になったしまったのでしょうか?

もし、そうだとしたら世津子さんが言うように、記憶取り戻して、世津子さんのことはきれいさっぱり忘れてしまったほうが、世津子さんは救われるでしょう。
彼女にもしあわせな日々が訪れますように。

『ひよっこ』25週「大好き」146話 9月19日放送分

 

-NHK朝ドラ
-,

© 2024 ユメザス〜人生すべてネタ!ユメをメザスあなたのためのユメザスネット!〜 Powered by AFFINGER5