お父さんお母さんへ 教育・教師

学校に電話は何時まで?~勤務時間内にというけれど~保護者が学校、教師に電話するときにこころがけたいこと




普通、学校に電話するときって、子どもの欠席などの連絡以外はよほどのことでなければなかなかかけづらいものなのかもしれないですね。でも、受け手の学校からしてみると決してそのようなことはなく、家庭からの電話もそれなりにかかってくるのが当たり前の職員室の風景になっているのです。

昨今の教職員の働き方改革のあおりを受けて、さまざまな自治体が学校への電話は勤務時間内に~と呼び掛けているだけでなく、時間外は「自動応答メッセージ」に切り替わってしまう~という強硬手段に打って出た自治体まで現れる始末。

そこで今回は、保護者の立場から学校、教員に電話する場合、どのようなことに留意して電話すればよいのかカンタンにまとめてみました。

教師のせつない実情

教員の場合、実際、子どもが放課になるまでは息つく暇もないほどの忙しさです。放課後になっても小学校以外の校種では部活がありますし、とにかくやることがありすぎなのです。定時になってもなお処理しきれていない仕事が山積みで、さらにさらに深夜までかかっても終えることができず持ち帰り残業~という負のスパイラルに陥っている教師のなんと多いことか・・・

ってなわけで、教員は学校にいる間、常に忙しいわけなので電話する時間は特に気にする必要はないでしょう。どの時間にかけても結局は同じこと~ということです。ただし、込み入った話、クレーム、要望、相談などのように時間がかかる内容の場合は、電話する時間にも気を遣ったほうがいいです。

事前に電話連絡をする旨を伝え、いつなら時間を取ってもらえるのかを確認しておくのです。私の場合、よく相談してくる保護者などには、私の授業の空きの時間(つまり教員個人の受け持ちコマの習慣時間割表)を教えていました。

とは言っても「空き」のコマの50分は教員にとっては本当に貴重な時間で、さまざまな事務作業、授業の準備や印刷など、ここでやっつけたい仕事がありすぎる50分なので、正直なところこの時間をもっていかれるのはかなりイタイです。

教師サイドとしてもやらなければいけない仕事を横に抱えての電話応対では気もそぞろになるでしょうし、そのような込み入った話は、比較的時間が取れやすい放課後のほうがほんとうにありがたいです。

 

学校に電話?教員のケータイに電話?

私が現役であった10年ほど前などは、担任の自宅の固定電話番号と携帯電話番号を頂点に、クラスの生徒、保護者全員に「クラス緊急連絡網」なるものを作って配っていたものでしたが、いまはそうもいかないようですね。公立高校を辞めた後、一時期私立女子校や私立通信制高校に奉職したこともありましたが、どちらも生徒と個人情報のやり取りは禁止、それも担任でさえだったのです。

担任等教師への連絡は必ず学校を通して、それも「勤務時間内」にというとてつもなくハードルの高い制約のおまけつきでした。緊急時は一体全体どうしたものか?と思いあぐねて同僚に聞いたところ、命にかかわるような案件の場合は、「警察」「緊急病院」へとのこと。警察や病院に電話しないで済むようなことだったら翌日学校に~ということだったわけです。

私が担任をやっていたころなど、昼夜を問わず、学校から保護者から遠慮なくのべつ幕無しジャンジャン携帯が鳴りっぱなしだったわけですから、実に隔世の感がありありありすぎますね。

とは言っても、わがクラスではクラス開き、入学式などで保護者、生徒を前に担任への連絡のルールをあらかじめきちんと話しておりました。欠席などの通常の連絡は学校に、緊急時、学校を通したくない個人的な生徒の相談事などは担任の携帯へ~というふうに。

私の場合、比較的家庭との連絡を密にしてきたので、マナーの度を越した時間帯の連絡や頻度などの問題はほとんどありませんでしたが、こういった線引きをあらくじめやっておかないとあとあとたいへんになることは目に見えています。

保護者から教員個人の携帯にかける場合の時間帯ですが、もちろん込み入った内容になるのでしょうから、ありがたいのは、放課後からの2~3時間はなんだかんだでバタバタしていますので、17時あたり以降~22時くらいまでがいいでしょう。(ただこれは私の場合ですので、常識的な最後の時間は20~21時まであたりになるでしょうね)

また、学校に電話した場合、誰が最初に電話に出るの?~ということはよく聞かれることなのですが、これもまた休日と平日とでは違いますし、学校によってもそれぞれまちまちなのです。保護者などの外部からの電話が直接職員室に繋がるようにしてある学校もあれば、まずは事務室が受けて職員室にバトンタッチ~という学校などそれぞれであるのが実際です。

職員室で最初に電話に出るのは、やはり教頭が多く、生徒指導がらみの案件の場合などは生徒指導部の教員が受けることが多いです。このような事情ですから、最短で担任につないでほしい時には「3年3組の山田太郎の母ですが、担任の山田花子先生お願いできますか?」などのように話した方がよいでしょう。




いつもいつも電話でだけ~がダメな理由

長年、担任をやっていると実にさまざまな保護者、生徒と出会うものです。クラスの保護者で、とにかく何でも電話で済ませるのが大好きな母親がおりました。三者面談の希望日時届けも生徒に持たせるのではなく、直接私にTEL、相談事も直電、日常の娘のこまごまとした様子の報告まで逐一電話~というありさま。入学式の時、父兄を前に担任への連絡についてふれたうえ、文書にして渡したにもかかわらずです。まるで私との会話を楽しむようなそのような感じなのでした。

わたしへの電話をもらうその都度、頻度や時間のボリュームなどについてそれとなく話してきたつもりだったのですが、全く意に介さずマイペースをあくまでも貫き通そうとする感じでしたのである日、思い切ってこう切り出しました。

「私への連絡は、緊急時や電話でなければどうしても話せないものだけにしていただけると助かります。そして、直接お会いして話したほうがいいと思われる内容もこれまでの電話でけっこうありましたので、今度からはそのような場合は学校で話しませんか?」

その後、この母親はことある度、それなりの頻度で学校に顔を出すようになったのですが、子どもに何やら言われたらしくそれ以降は手紙を学校経由で私にに出すようになったのでした。

このように、中には連絡手段のすべてを電話に頼りがちになる保護者が少なからずおります。しかし連絡のすべてを音声のみに限定してしまうのはとても危険です。話す内容によっては双方、誰かに聞かれては困る内容もありますし、直接会って相手の顔を見ながらでないとダメなものも当然あるはずです。

電話、テキストデータのやり取りなどは便利なものでもありますが、意思の疎通の齟齬(そご)、思い違いなどに限界があることにも留意すべきです。




匿名の電話はアリか?

クレーム、苦情などでよくやってしまいがちなのが匿名での電話。内容が内容なだけに名乗りたくないのもわかるような気がしますが、電話の内容からおおよそどこの誰なのかは結構わかってしまうものなのです。そして何より、「匿名」では匿名さんの思うように事は運ばない~ということを分かってほしいのです。なぜなら、匿名ですのでそれきりであり、その後へとつなぐことがまったくできないから。

さんざん文句、苦情を吐き出して「スッキリした!」だけが目的ならともかく、建設的な要望、進言であるならばきちんと名乗って物申しすべきです。学校だってそのようなものであるならば、きちんと聞く耳を持っています。

ハナから学校、教員など信用などできない~このような気持ちもわからないでもないですが、常にこのようなスタンスでいると保護者、生徒サイドが結局は不利益を被ることになることもまた理解してほしいのです。家庭と学校は子どもの未来のために共に手を携えていかなくてはならない同士のような存在のはずです。

匿名でもぜんぜんOK!なのは、名前のない贈り物くらいであってほしいですね。伊達直人=タイガーマスクのように。

学校勤務時間外の電話はアリ?

流れとしては、もう完全に教職員の負担軽減のためにカタチだけは何でもやる~という方向にシフトしています。

島根県の全ての教育長が共同で、学校への電話、行事はすべて勤務時間内にすべし~という異例の声明を出したり、美唄市の全小中学校の勤務時間以外の外電はすべて自動応答に切り替わることになってしまいました。この自治体のサイトを覗いてみたところ、このように記されておりました。

美唄市教育委員会では、市内の小中学校において、教職員の業務負担の軽減を図り、職員一人一人が子どもと向き合う時間を確保するため、「教職員の働き方改革アクション・プラン」に基づき、学校の働き方改革に取り組んでいるところです。

令和4年10月から働き方改革の新たな取組として、市内の小中学校における勤務時間外について、自動音声(応答メッセージ)による電話対応を導入することといたしました。

児童生徒の生命や安全にかかわる緊急の場合>
警察(110)または消防・救急(119)、最寄りの医療機関にご連絡ください。

いのちにかかわらない、「その他」の時間外要件は担任、教員の携帯へ直接~ということになっているのでしょうね。



教員が実にさまざまな人間がいるように、この問題については受け止め方もまたさまざま。仕事とプライベート、キッチリカッチリ線引きしてアフター5は誰にも干渉させない~という人から、24時間365日学校のことばかり考えている学校人間まで、この人たちもみな同じハコの中で教師、教員として働き、日々過ごしているのです。

たしかに教師もまた労働者に変わりはありませんが、「勤務時間外だから」「緊急性が低いから明日にして」とせっかく電話してきた保護者、児童生徒をにべもなく切り捨てられる人間はやはり教師ではなく教員に成り下がると私は思います。なぜなら、「師」と人様から尊称で呼ばれるのであれば、それなりのこの仕事に対してのプロ意識とある程度の自己犠牲はつきものだからです。身を切ることのできなくなった「先生」が多くなってきたと感じる保護者も多いのではないでしょうか?

今の時代、教職員の働き方、待遇改善ばかりクローズアップされるようになってきましたが、これは喜ばしいことである反面、身を削って仕事に邁進する尊さを知るチャンスを手放すことにもつながる危険性をもはらんでいるともいえるのではないでしょうか?

システム上、時間外電話が許されていないのならどうしようもありませんが、教員の携帯を知らされていて子供にとって緊急性重要性の高いものであったら許されてもいいのではないでしょうか?もちろん教師も生身の人間であり、疲れたりもするし感情のある人間です。そこの節度とマナー、そして相手の立場に立つという思いやりがあれば、教師であるならばかわいい子どものための電話、歓迎してくれるはずです。

緊急時の電話にもつながるふだんからの学校、教師との連絡、意思疎通をいま一度振り返ってみませんか?

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