コラム

「いっぺん、死んでみる?」のフレーズが強烈な「地獄少女」の世界!「イッペン、ヨンデミル?」

闇に惑いし哀れな陰よ

人を傷付け貶めて罪に溺れし業の魂

いっぺん、死んでみる?

あなたには、この世からいなくなってほしい人間はいるだろうか?

私の場合、「ソリがどうも合わない、なんとなくうまくいかないんだよな~」くらいの人だったらそれはちょっとはいるが「いなくなってほしい」とまではなかなかいかない。これは私もそれなりに歳を重ね大人になって、嫌なこと、苦手な人を流し許すことを覚えたからかもしれない。こういったことに使う精神力、時間の浪費はほんとうにイタイ。生きていられる時間は人間限られているのだから、もっと建設的な前向きな事に誰だって使いたいはずだ。

しかし、人間といういきものの存在するこの浮世、どれだけ多くの恨みつらみが錯綜していることだろう。その怨念のすさまじさも当然、人それぞれである。私みたいに殺してしまいたい人などいない・・・という人間はしあわせなのかもしれない。

依頼人は、地獄流し(恨みの対象人物を自らの手を汚さずに、地獄少女と契約を交わすことにより、速やかに地獄へ突き落とすことができる。)という悲願を遂げたあとは、必ずその代償を支払わなければならない。その代償もまた自らの命である。死んだ後の話だけど・・・依頼人の魂もまた、その死後地獄に流され痛みと苦しみを味わいながら地獄をさまよい続けるという。永遠に・・・

このなんともおぞましい『地獄少女』は、すさまじくドロドロした怨念だけに終始しているわけでは決してなく、コミカルな回やほっとさせられたりハートウォーミングなストーリーも織り交ぜられているのだが、そのすべての根幹に流れているものは何ともいえない寂寥感である。抗いきれない運命にそれでも立ち向かおうとする人間といういきものの浅はかさどうしようもなさ・・・しかし、そこにこそ作者は人間の希望を見出しているように感じられてならない。

また、「お嬢」こと閻魔あい(地獄少女)から滲み出る儚さ切なさだけでなく、彼女のうちに秘めたる魂の強靭さがストーリーをさらにさらに深みあるものとしている。声の主の能登麻美子さんの実にくらーく、ボソッボソッと吐き出すようなトーンがあいにピッタリ。閻魔あいの背負っているものの大きさを感じさせる声優さんである。




『地獄少女』は2005~2017年にかけて

➀『地獄少女(じごくしょうじょ)』 → 第1期(全26話)

②『地獄少女 二籠(ふたごもり)』 → 第2期(全26話)

③『地獄少女 三鼎(みつがなえ)』 → 第3期(全26話)

④『地獄少女 宵伽(よいのとぎ)』 →第4期(全6話)

~と四期に分けて放映されたが、実は最近映画版もできたらしい。私はこの実写版は見ていない。私の中にある『地獄少女』のイメージが壊れてしまうのが怖いからかもしれない。

『地獄少女』の世界を深く知るためには「第1期」より順に見ていくのが一番ではあるが、各話見切り、オムニバスのスタイルを取っているのでつまみ食いでもそれなりには楽しめる。しかし、全体の構成としてそのすべてがつながっているので、やはり最初から見ていきたい。

第3期の『三鼎』では、「地獄少女」になる運命を背負った少女(ゆずき)が地獄のおきてを犯し(地獄少女自らの意思で相手を地獄に流そうとした)た時、その咎(とが)をあい自身が背負うことになり、有期であった地獄少女のつとめを「永遠」にそのうちに抱え込むことになるのである。

その時の事後の使者のセリフはこう。「人の世に怨みが消えぬ限り、お前は永遠に仕事を続けることになる。もう二度と解放されることはない。それでも良いのか?あい?」

ゆずきはずっとずっと拒み続けていた。が、目を背けていた自己の軌跡を顧みることによって、地獄少女を必要としている人間がこの世の中には確実に存在し、地獄に流さなければならない人間もまた絶対的にいるという現実を直視するにいたって、みずから地獄少女になる断を下す。(もっともあいが地獄の法を破ったゆずきをかばったため、ゆずきはその役を解かれてしまったが・・・)

また、2017年の4期『宵伽』では、これまた重すぎる過去を背負ってその魂が成仏できないでいる青い瞳の少女ミチルが登場する。両親、そして自らが村人に惨殺されながらも、依頼を受け、依頼人の憎い相手を地獄に流すあいの行いに嫌悪を抱き続ける。しかし、彼女が見ていたおぞましい過去は自分たちが殴殺、焼殺されるところまでであった。

その後のストーリーをあいにその眼(まなこ)に映像として焼き付けられたミチルは、これまた自分が地獄少女になる運命であることを受け入れるのである。実は焼き殺される寸前のミチルの放った憎悪の業火がすさまじい勢いで村人、そして村全域を焼き尽くし嘗め尽くしたのである。

「貴女は許されざる罪を犯した…だからその罪を償わなくてはいけないの。地獄少女として…それが、貴女の答えよ」

あいがミチルにこう言い聞かせる。




ゆずきの魂は成仏を果たし、ミチルは地獄少女として地獄と現世を彷徨い続ける。もちろんあいも・・・

そしてミチルの初仕事(初流し?)。見逃す人はまさかいまいが、ミチルの瞳が青から赤へと変わってしまった!あいと同じ深紅の瞳に・・・憎い相手を地獄に流すまでのシステムの詳細(地獄通信へのネットアクセスの方法、依頼が可能な人間、藁人形、代償、マーキングなどなど)の深入りはここでは避けるが、依頼人に放つ契約時のミチルのセリフ(あいとほとんど同じ)で少しは理解できよう。

「受け取って。貴方が本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸(藁人形に結ばれている)を解けばいい。糸を解けばわたしと、正式に契約を交わしたことになる。そして、怨みの相手は速やかに地獄へ流されるわ。但し、怨みを晴らしたら貴方自身にも代償を支払ってもらう。人を呪わば穴二つ。契約を交わしたら、貴方の魂も地獄へ落ちる…死んだ後の話よ。極楽浄土へは行けず、貴方の魂は、痛みと苦しみを味わいながら永遠に彷徨うことになる。あとは貴方が決めること…」

そして二つ目の仕事?が入る。地獄通信へ自分の名前を打ち込む少年。

「地獄少女…僕を地獄へ流して…」
「どうして?」
「苦しそうなお父さんとお母さんを見てられない…僕がいなくなればラクになれるから…」
「自分で自分を流すことはできないわ」
「貴方のお父さんとお母さんは貴方を支える為に生きてるの。もし今貴方がいなくなったら、どうなると思う?今よりずっとツラい思いをするのよ…笑えるようになりなさい。今は無理かもしれないけど、いつか…お父さんとお母さんの為に…笑顔は、人を幸せにするのよ…天国で会いましょう」

・・・と初の自分流し?ケースの出現と同時に、新たなシステムも分かったりでビックリポンもつかの間、ミチルは少年にこう説教を垂れるのである。なんともホンワカホッコリである。ミチルの優しかったお母さんが「笑顔は人を幸せにするのよ。ミチルもいつも笑っていようね。」・・・と言ってくれたことを思い出しながらのお説教に違いない。

実はこの少年はひとつ前のストーリー第5話の風間理史。

物語の概要はこう。友達を連れて両親の運転する車で出掛けたある日、事故で友達3人だけが犠牲になってしまう。生き残った理史は自分を責めるが、亡くなった友達の母親は地獄通信にアクセスし、理史を地獄に流そうとする。はるか昔、ミチル一家が惨殺されるきっかけとなったのも、友人3人だけが池で溺死し、ミチルだけが生き残ったことなのである。地獄通信などなかった昔は、自らの手を汚すしかなかったのである。

理史、ミチルいずれにも、まったく咎はなく、友人たちに非があるわけなのだが、恨む側としてはそんなことは関係ない。わが子がいなくなったことに耐えきれず、憎い相手を殺したい、地獄に流したい~この一心である。恨み恨まれ、恨みの連鎖はとどまることを知らない。人間の浅はかさおぞましさがもう勘弁してというくらい全話を通じて描かれている。

ミチルはこのことをきっと知っていたに違いない。どこかでこの負の連鎖を断ち切らなければならない~と。

しかし、地獄少女となった今、地獄には地獄のおきてがあり、掟破りは決して許されない。解釈はいろいろだろうが、セカンドリクエストは依頼人の依頼がそもそも自分流しで無効なものであったため当然流しには至らなかったとみるのが妥当であろう。自己の判断、考えで依頼を選別できるとはこれまでの流れからして到底思えない。いったん依頼人が糸をほどいた暁には忠実且つ速やかに「仕事」を遂行しなくてはならない。果たしてその時、どれだけミチルが苦しむことだろう・・・(ミチルの性格からして、理不尽な流し依頼は今回のように軌道修正(お説教&改心チャレンジ)を試みることもあろうが)

きっとあい自身もまたこの苦しみを何度も何度も味わってきたはずだ。『三鼎』の話中でこんなシーンがあった。問答無用に淡々と地獄流しを続けるあいに向かって、ゆずきが「あなたは何にも考えないの!?」と吐き捨てるが、あいはこう呟いた。

「考えたことないと思った?」

「正しいとか間違ってるとか、そういうのは関係ない。これは仕事なの」

つき





また、別のストーリーであいはこう語っている。

「立場も変われば見方も変わる。正しいとか悪いとか、それはその人の気持ちでしかないの。人を呪わば穴二つ」

いい人だろうが悪い人だろうが関係ない~ということの真意は「人間すべて罪びと」・・・こうあいは言いたいはずなのだ。たとえば、「三鼎23話日暮坂」でいじめられっ子の「何でいつも僕だけが!」という訴えにあいはこう返した。

「本当にあなたは誰も傷つけていないの?」

そうなのである。詳しくは「二籠」のラスト中心に描かれているので深入りはしないが、あいもまた地獄を見てきていて、自分もまた罪びとであることを認識しているのである。

カンタンに話すと、あいもミチルと同じなのである。はるかむかしの安土桃山時代、幼馴染の仙太郎、村人たちに対する怨念を抱きながら人柱となり、その浮かばれない魂が村全体を死滅させていたのだ・・・

劇中に何度か登場する人の顔を持った蜘蛛がこう語っている。「お前は己の怨みを解き放ち、新たな怨みを生み出した。その罪は重い。」その罪をあがなうために地獄少女とさせられたわけ。そして、現代にいたるまで、おのれと地獄流しの使命について考え続けていたはずだ。けっして考えていなかったわけではない。

「二籠」では人間の持つ眼をそむけたくなる恥部がこれでもかというくらい描かれている。特に最終話で人柱として生き埋めされていくあいのシーンは本当に後味が悪い。しかし、この最終話での現代の地獄少女としてのあいの二度目の死が、「三鼎」でゆずきに憑依することで復活を果たし、さらにゆずきを助け、その魂を成仏させることでみずからは永遠の地獄少女になることにつながるわけであるから、正視しなければならい。

また、4期『宵伽』最終話(6話)では先述のようにミチルが2人目の地獄少女となり、あいとミチルがそれぞれ別の地獄少女として共存し、この世とあの世を彷徨い続けていく「これから」を彷彿させている。

~というようにすべて、全ストーリーに通じている「ある鎖」が見え隠れしているのである。人生が最高にハッピーで明るい未来予想図しか考えられないような幸福な人は、きっとこのアニメーションを見ても他人事にしか思えなであろうが、心に闇を抱えていて人生について深く考えていたり悩んでいたり、果ては殺したいほど憎い相手が存在するような人は何か感じるものがあるかもしれない。

それにしても、あいが言うようにこの人の世に存在する「恨みの連鎖」は本当に誰にも止められるものではないと私は思う。この世に「どうしようもないこと」「理不尽な事」がたくさんあるように、人の世ある限り、人の恨みも消えないはずだ。あいに仕事を頼むかどうかは別として・・・

「怨み 怨まれ、また誰かを怨む。流し 流され、また誰かが流される。繰り返しよ。わたしは何度も見てきた。誰にも止められないわ」

あいの諦念が実に寂しい・・・

このサイト「ユメザス」は教育関係の記事がそのほとんどであるが、『地獄少女』で取り扱うテーマは、いじめ、モンスターペアレント、ストーカー、生徒を陥れる教員などなど世相にマッチした話題が盛りだくさんで興味が尽きない。

最近の私の記事、「いじめ傍観者に対してクラス担任、教師ができること~「見てるだけで何が悪い!」への指導と反論~」では、サンダーバード号事件、そして東海道新幹線車内殺傷事件を扱ったが、「見ているだけで何が悪い?」を取り上げた回が「三鼎(4話)兄貴」である。

いじめられる辛い日々を送っていた湯川少年。そんな彼を救ったのは検事志望の正義感の強い大学生仁志田。いじめっ子を蹴散らした彼に少年は強い憧れを抱き、彼に剣道を習うようになり、少年は変わっていった。しかし、そんな幸福な日々は長くは続かなかった。

ある日二人でバスに乗っていると、見るからに人相の悪い男に一人の乗客が脅かされていた。他の乗客たちは恐くて見て見ぬフリ。それは仁志田も例外ではなく、湯少年今まで見たこともないような怯えた表情だった。バスがとまったとき、遂に脅かされていた乗客は男に連れていかれてしまった。二人の間に流れる気まずい時間・・・仁志田は「お前を巻き込みたくなくて何もできなかった」とかなり苦しい弁解をする。そんな仁志田を見て、少年は、「さようなら・・・」

その夜12:00ジャスト、湯川少年は地獄通信にアクセスし、地獄少女閻魔あいから藁人形を受け取る。

「しかたないね。でも誰かがやらなくちゃいけないんだよね。悪いのはあの人だけじゃないことは分かってる。本当に地獄へ送らなくちゃいけない人はほかにいるかもしれない。でもその人たちはボクには関係ない。ボクには・・・さようなら!!」

そして藁人形の赤い糸が解き放たれる!

「恨み聞き届けたり・・・」

この世から抹殺され地獄流しの小舟の上で仁志田は櫂(かい:オールのこと)をこぎ続けるあいにこう哀願する。「検事になって償うから許してくれ!!」さらに地獄行の船上で絶叫する。

「あのバスに乗ってた全員が同罪じゃないか!それなのにどうして俺だけ・・・」

「この怨み地獄へ流します」

この回ではないが、「 三鼎26話最終話」(三鼎いちばんの見せ場で、あいがゆずきを救い、その咎を自身で受け入れるシーン)でゆずきにあいがこう語りかけている。

「人は弱いわ。どんなときでも自分を守ろうとする。だから見て見ぬ振りをする」

闇は深い・・・



最後になるが、あいを取り巻く僕(しもべ)の妖怪「三藁(さんわら)」(輪入道(わにゅうどう)、一目連(いちもくれん)、骨女(ほねおんな))、そして山童(やまわろ)もみな悲しい過去を肩に隠している。彼らの存在が物語をさらに深みのあるものにしているのは言うまでもない。

この深すぎる闇をいっぺんあなたにも覗いてみてほしい。きっと虜になるに違いない。特に闇を抱えた人は・・・「あとはあなたが決めることよ」~は依頼人にあいが藁人形を手渡したあとのキメ台詞。

これらすべてのストーリーがBD/DVD化されており、GYAO(ギャオ)、U-NEXTをはじめとした動画サイトでも常時視聴可能。私はDMMの月額レンタルでこの地獄少女を観たのだが、ネットから申し込んで返却は郵便ポストに入れるだけなので結構重宝している。






これでほんとうに最後になるが、私が『地獄少女』で一番記憶に残っているセリフはあいのこれである。

 

「本当の地獄は人の中にある。あなたの中にもね」

 

「地獄少女」一期~四期オープニング&エンディング曲一挙公開!

『地獄少女』一期OP「逆さまの蝶」

『地獄少女』一期ED「かりぬい」

『地獄少女』二期OP「NightmaRe」

『地獄少女』二期ED「あいぞめ」

『地獄少女』三期OP「月華」

『地獄少女』三期ED「いちぬけ」

『地獄少女』四期OP「ノイズ」

『地獄少女』四期ED「いろがみ」







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