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初担任じゃなくても担任持ったら、教師がクラス開き早々に「生徒個別面談」をやったほうがいいワケ

教師にとって、クラス開き前のあのワクワクドキドキ感は何とも言えないものがありますね。担任は何度受け持っても実にいいものです。

前に「初担任&授業開き~いまスグやるべきこと!準備と心構え~」で主にはじめて担任を持たれる先生のために、これからのクラスの行く末を決める大事なことについてちょっと長めに話しましたが、今回はそのクラス開きを終えてなるべく早いうちにやった方がゼッタイいい「個別面談」について話します。

前に話した、クラス開き前の直電、全体への投げかけの後、生徒と教師一対一で顔を突き合わせて話し合いの時間を持つことによってさらにさらにその効果が大きくなるのです。これまではクラス全体に向けて担任教師の考え、思い、クラスにかける意気込みなどを投げかけてきましたが、今度は一対一です。

個別面談では担任の想いを前面に出すというよりも、生徒の話を聞きだす、傾聴の雰囲気にもっていったほうがいいかもしれません。

おそらくほとんどの学校で学校をあげて個別面談週間などと銘打って、一段落した時期に担任との面談が行われるかと思います。しかし、この面談はなるべく早いうちに行うべきなのです。今日はその訳を私の経験から話していきます。








さまざまな環境、事情を抱えた子どもたち
担任として知っておくべきこと・・・

面談が始まると、堰(せき)を切ったようにしゃべり始める子どもがいる一方、必要最低限のことにしか答えようとしない生徒も当然います。話したくてたまらない子、何かを訴えている子ども、こちらの出方をうかがっている生徒、まったく話がかみ合わない面談・・・とにかくなんでもありすぎなのです。この時期の面談は・・・

生徒同士がクラスにある程度なじみ、人間関係も固定化しつつあり、生徒たちも担任をある程度しるようになってからの面談とは何が違うのでしょうか?何が得られるというのでしょうか?

それは先入観、担任の一方的な勝手な思い込みなどがあまり入る余地のない段階でのまっさらな生徒のあり様がとらえられるということです。大きく言ってしまうと。子どもたちから見てみた担任像もまた然りです。お互い、あまり情報も付き合いもない段階で顔を突き合わせての面談・・・きっと何かが得られるはずです。

これは私の反省からなのです。実は・・・

あれは私がはじめてクラスを持った時のことでした。

クラス開きが終わってしばらくして、やけにある生徒の姿が廊下、他のクラスなどで頻繁に見受けられるようになってきました。「何か」ある!!絶対ある!!と踏んだ私は彼女を個別に呼び出してその「何か」を聞き出そうとしました。

しかし、彼女はその「何か」については絶対口を割ろうとはしないのです。あくまでも「何でもありません」で通そうとするのです。その「何か」について以外は饒舌なのですが、その無理に作ったような明るさの陰に彼女の悲しみを私は見たのです。



「クラスで何かあるのか?やっぱり居づらい?」

この問いに彼女が「イエス」と答えるにはたいへんな勇気がいるのは当時の私にだって分かっていました。でも最終的に言わねばならなかったのでした。

あの沈黙はどのくらいだったのでしょうか?若かった私にはそれはそれは長く感じられたのでした。待つことに慣れていなかったのかもしれません。彼女の口から発せられわかったことは、中学校時代ずっと同じクラスだった生徒にいじめられていたこと、高校になってまさかその生徒と同じ学校、それも同じクラスになってしまったこと、そしてそれを今も引きずってこのクラスに持ち込んでいること・・・などだったのです。

あれだけクラス全体に投げかけて、いじめのような人の尊厳を踏みにじる行為は絶対ゼッタイ許さない~と暇さえあれば言っていたというのに、何にも伝わっていなかった、心に響いていなかったんだ~と虚しさと切なさと自責の念とがごちゃまぜになって当時の私は打ちのめされたのでした。

それから、彼女と親御さんの面談の中で、この事実を当該生徒の家庭に知らせ、いっしょに指導していく了承を取り付け、なんとか一学年を終えるころにはそれなりの関係になってはいきましたが、あのころに戻れるのなら間違いなく、早い段階で個別面談を実施していたことでしょう。

念には念を入れ、2年時進級時のクラス替えでは、そもそも進路も異なっていましたが、なるだけ遠いクラス配置になるよう学年に要望し彼女と彼女は別々のクラスにさせました。

中学校からの申し送りにも、中学校訪問時に聞き出した担任教師からの話にも彼女に関するものはまったく何もなかったのでした。彼女に関するいじめは完全な一対一の関係であったため、それとはわからない陰での陰湿なものであったため気付かない生徒も多かったのだろうとは彼女の弁。そして当時の担任にも何も話していなかったとのことだったのでした。

クラスの人間関係が固定化されるまえに、
実施する個別面談のメリットの数々

はじめて担任を持った時の苦い経験から、それからというものの担任を持った時は必ず早いうちの個別面談を実施するようにしていました。

なにせ、クラス、学年、授業が始まってしまえば言いたくないことも言わなければいけないし、ぶつかる時だってありますもの。お互いまっさらでクリーンなイメージの段階で面と面を突き合わせて話し合いは結構いいものですよ。

もちろんある程度の時間が経ってからの再面談が必要になってくるのは言うまでもありませんが、一発目に実施する面談のメリットは私の場合以下のようなものでした。

① お互い、前知識がほとんどない状態でお互いを知ってもらう~という唯一無二のチャンス!

② クラスが回りだしてからでは遅い、担任として絶対知っておくべき様々な情報、生徒の思いを聞くことができる絶好のチャンス!!

(今回話した彼女の例がこれに当たります。その他、家庭の事情、身体的なことなど、この面談で得られるかもしれないメリットは挙げたらキリがありません)

③ 担任のクラス経営上(たとえば役職、クラス係りなど)知っておきたい生徒の経歴、希望、思い、考えなどを聞くことができるまたとないチャンス!!!

④ 部活動、生徒会活動勧誘、すすめ、これもまた逃したくないチャンス!!!!

(中学校時代で部活動に燃え尽きて高校では帰宅部になったり、バイトに明け暮れる生徒は多いものです。部活等が始まってしまってからはもう遅いのです。)




個別面談のメリットを最大限生かすために
教師が気を付けなければならないこと

教師として、いちばんに気を付けなければならないことは、やはり児童生徒のプライバシーを守るということに尽きます。これが完全に守られていなければ、誰だって何も話そうなどしないことでしょう。

そのほか、面談の効果を最大限に引き出すために以下のようなことを心がけたいものです。

① 面談の時、場所・環境に最大限の配慮を

普通、面接週間などには1日に6~7人の子どもたちが放課後の時間を使ってギッチリ分刻みで詰め込まれているのではないでしょうか?お互い忙しい身ではあっても、時間には余裕を持たせたいものです。そして、前後する生徒同士の人間関係にも配慮して順番を決めたほうが良いかもしれません。時間がかかりそうだと思われる生徒には多めの時間を取っておいたり、最後に持ってきたりなどの配慮は必要です。

② フィードバック

何でもやりっぱなしではいけません。そもそも何のための面談か分からなくなってしまいますもの。必ず記憶が確か、新しいうちに記録として残さなければいけません。

記録に残すと言っても、面談中に逐一生徒の喋った内容をノートにこちょこちょ書いているようでは生徒も興ざめで安心してうまく話せないかもしれません。スマートなやり方は、その生徒の面談を終えてから教師が一人になった段階で記録するといいでしょう。

私は自分のクラスの生徒は1人1つのフォームを使い時系列に事実は事実、所見は所見に分けてPCで管理していました。これは後々、担任の強い味方になってくれること必至です。要録にも仕えますし、担任が変わったときなど、マル秘扱いでデータをそっくり渡すこともできますので紙ベースより便利かもしれません。しかし、くれぐれもデータの扱いには注意してください。

余談になりますが、私は授業で入ってる生徒についてもその日その日、時系列に記録しておりました。これはさすがに生徒ごとのフォームはつくらず、クラス、教科科目ごとに分けて記録していました。




 家庭等との連絡調整

生徒のプライバシーは完全に守られなくてはならない~と言っても時と場合によります。本来、親御さんが知っておくべき生徒の事実を教師だけが知っている~というのはまずいです。これはさすがにキッチリカッチリ選別できるものではありませんが、ケースバイケースですすめていくべきです。

本人の親にも知られたくない身体的な悩みなどは教師の胸の内に秘めておくのもアリなのでしょうが、これが病気の事、更には進路に関することなどにいたっては教師だけが知っている~なんて状況はどう考えても許されるはずがありません。

そして私の経験上、いちばんナーバスにならざるを得ないのは人間関係についてです。担任に限らず教職員との関係、友人・異性関係、そして家族関係です。これもまたケースバイケースなのですが、面談で聞いてしまった以上、無責任かつスルーするような後処理はできません。

それが何らかの対策を取らなければならないものである以上、担任として全力を尽くすのは当たり前ですが、やり方を間違えるといちばんこじれるのがこの手の問題です。自分の判断、力量で「無理!」と思うのであれば、生徒のプライバシーに最大限の配慮をしたうえで同僚、先輩教師、場合によっては管理職の声に耳を傾ける度量くらいは持つべきでしょう。

抱え込むのは怖いことです。

面談で生徒の口から出てきた話題で「これは親御さんに話さないとまずいな!」と感じたものについては、生徒に事前にキチッと説明し納得させてから家庭に連絡すべきです。

④ 学年、教科その他との連携

⑤ 女子生徒との面談は要注意

私は教科が商業でしたので女子生徒を相手にしてきたことが多かったのですが、常に気を付けていたのは~女子生徒と密室で一対一、二人きりにならない~ということです。と言いますのも学校は違いましたが、友人が密室面談ではめられたからなのです。

普段から何かとその同僚にぶつかってくる女子生徒の指導を一対一で行ったまではよかったのですが、問題はそのあとに起きたのです。「先生に言い寄られて体をさわられた!!」と来たのだそうです。生徒指導部会でも職会でも「どちらの言い分を信用するのだ!?」と割れに割れ荒れに荒れたらしいです。

生徒もブラウスをはだけた状態で職員室に直に駆け込むなど、とても子どもとは思えないような空恐ろしささえ感じるアクションだったそうです。自分はそのような状況になんかならないよ~などとは言えないはずです。

お互いを守るため、面談室、教室のドアは半分くらい開けておく~等の自衛手段は講ずるべきなのではないでしょうか?

すべては準備があってこそ・・・

担任からしてみれば、自分のクラス生徒まるまる面談をすることになりますが、生徒の立場に立ってみれば今回の面談は1対1の1回キリ・・・惰性でやる面談ほど無意味なものはありませんよね。無意味どころか、生徒にダメージを与えてしまうことにもなりかねません。

決して思い付きや行き当たりばったりでやるのではなく、面談もまた用意周到な準備があってこそ最大限のパフォーマンスを発揮してくれるのです。面談から芽生える新たな教師と生徒の人間関係だってあるのですからどうか準備だけは先生、がんばってください。

面談はやらなければいけない~といった義務ではなく、担任にしかできない教師の権利なのですね。よい出会い、気付きがありますように!

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※「初担任!いまスグやるべきこと②「決意と覚悟」~初任で担任を降りようとした先生~

※「入学式&始業式~出会ってしまった僕たち~子どもたちの迎え方とメッセージ~

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