今回はひさびさにみなさんからいただいた「質問、相談」を取り上げてみたいと思います。(最近、相談、質問事例をなかなかシェアできてなくてごめんなさい。また、記事の更新があまりにも最近なく、消えてしまったのか、死んだのか?という心配というかお叱りのコンタクトももらいました。仕事の都合上、マイペースになっていますが、ゆるやかにお付き合いくさいね。)
「教員の自腹問題が最近SNSなどでもよく見受けられるのですが、そんなことって本当にあるのですか? もしそうだとしたら、どのようなものを教員が負担しているのでしょうか?」~という教師という職業にちょっと興味があるという大学生の女性からのコンタクト。(今回は、学校勤務がない方のために、教育行政上の難しい問題はあえてふれず、なるべくやさしく話していきますね)
結論から言ってしまえば、自腹は当然?「あります」。ただし「人によりけり」です。ほとんどの教師が自腹を切っている、もしくは自腹を切ったことがある~になるのでしょうが、子どものため、学校のためには自分の財布からはびた一文出さない~という教員も確かにおりました。
当時、教師というすべてをぶつけることが出来る仕事に夢中になっていた私にとっては、このようお金の問題は、あまり大きな問題ではありませんでしたが、教員だって人間です。家庭もあり、様々な事情をそれぞれ抱えています。給与所得、それ自体は恵まれていてもカツカツのところでなんとか生活している者も当然いるわけです。そのような人にとっては教員の自腹問題はそれこそ死活問題です。
それがいいのか悪いのかの是非はさておき、私立にせよ国公立せよ学校ははっきり言ってお金がないです。ないことはないのですが、下りてくる予算なり助成金に限りがあり、毎年カツカツのところで何とかやっとこさ~のタイトロープ状態で運営されています。その限りあるお金を、学校運営上必要なセクションに割り振っていくわけですから、どうしてもお金の奪い合いになるうえ、なるべく節約するように求められるのは当然ですね。それで「自腹」が発生してしまうのです。
教育活動上、必要なものすべてをいちいち一般会社のように「領収証」切ってもらって事務にあげてたら、学校はたちまちお金的に立ち行かなること間違いなしです。それほど、学校というところは教師(教員以外の職員の方々が自腹を切っているかどうかまでは分かりません)の金銭的負担の上に成り立っている職場と言えます。
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例えば「部活動」を例に挙げてみましょうか。私の十数年以上の学校勤務の中で運動部以外の部活経験はまったくないので「運動部」に限っての話になります。硬式テニス、軟式テニス、陸上、卓球の顧問をしましたが、その中でも練習時間がダントツで土日含めて一週間というより一年まるまる(3年なんとか持ちこたえましたよ)私のプライベート時間のすべてを捧げた「卓球部」の自腹具合?を紹介します。
➀ ウェア一式、マイラケット
マイラバー張替え費用も当然発生してきます。その他、子どもたちが使うピン球は消耗品で毎日たくさんつぶれていきます。卓球部に割り当てられる予算では当然足りず、毎月家庭に負担してもらっている部費でもまかなえず、毎回私の持ち出しとなりました。この消耗品などの負担もちょっときつかったです。
② 高体連などの公式戦以外の練習試合、強化試合、民間大会への参加にかかわる諸経費
これらは学校からは一切補助はありませんでした。交通費その他もろもろ、すべてが教員の負担です。ただ、私の奉職した自治体では土日祝日等の学校休業日に部活動として3時間以上勤務した場合は「手当」として、一日一回当たり「1,800円」(当時)が支給されておりました。
③ 練習試合、対外試合訪問校への手土産代
御存知のように、出向く側が相手側へドリンク、昼食などのお土産を持っていくのですが、人数が人数なだけにバカになりません。けっこうな痛手でした。
④ 講師、コーチ、指導者への謝礼
これは私が顧問をした部の伝統らしく、悪しき慣習として毎年続けられてきました。学校サイドも黙認というか見て見ぬふりという感じでした。とにかく父兄が顧問以上に熱量が高く、半端ないこだわりがあってさまざまな競技経験者を招いてくるうえ、謝礼として顧問へも相応の負担を求めてきたのでした。
⑤ マシーン、ランチャー、ロボットなどの機材、ビデオカメラ機器等の負担
どれも必要不可欠なものですが、いかんせん耐久性がなんとも心もとなく、メンテナンス費用、買い替え頻度も結構短めです。予算、部費では足りるわけもなく、子どもたちの練習のためと割り切っての大出費の連続でした。
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実際これ以外にもまだまだたくさんあったのですが、えてして練習がハードで子どもたちは言うに及ばず父兄の熱量が高い部活動ほど、その自腹具合はマシマシになっていくとも言えるでしょう。(かつての同僚など好きで2シーターのスポーツカーに乗っていたのに、熱心な保護者ばかりの部顧問になったばかりにモノもヒトもたくさん積み込めるワンBOXカーに乗り換えを余儀なくされたのでした。)
かなりの強豪校になって学校の名を広く知らしめるような存在になればまた話は別なのでしょうが、中途半端な強さでは割り当てられる予算などでは、到底これらはまかなうことができません。
毎年年度末に行われる次年度向けの部活動予算分配会議が懐かしく思い出されます。どこの部も少しでも多く分捕りたいがために、それぞれの活動実績をアピールし、そしていかにお金が必要になっているかの窮状を訴えるのです。
顧問だけがたいへんなワケではありません。子どもたち、そして家庭の負担も相当なものです。卓球部などまだかわいいほうで、野球部の生徒などは相当お金がかかるのは想像通りです。お金の余裕がない家庭はハッキリ言って子どもに部活動を続けさせるのはかなり困難です。
部活動における実際問題として、物品の経済的負担、自腹が相当痛いのは本当ですが、そこはお金的にほどほどに恵まれている教員、なんとかはなります。ほんとうにつらくてキツイのはやはり時間的な損失、そして精神的負担でしょう。部活でしか得られないもの、これは確実にあります。しかし、失うものもたくさん実際ありました。何も教師は部活動専任教員では決してないのです。自分のクラスもあれば、教科指導、検定試験、資格試験指導、そして家庭もまたあるのです。私もまた部活動のため多くのものを犠牲にしてきたのです。
部活動だけでも結構あるあるでしょう。その他クラス運営にかかわる持ち出し、教科指導での自腹、各種行事での自費負担など、教員の自腹が出てくるシーンはいくらでもあります。そんなとき、痛い腹を切るか、やめておくかは教師自身にすべて委ねられているのです。
すべては「子どものため」という言葉は心地よく、聞こえはよいのかもしれませんが、それが本当に「子どものため」になっていて「今、ほんとうに必要なものか?」これを自分に問うてみるのも大切なのかも知れません。過去の私を振り返ってみて、今そう思うのです。
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