教師 教育・教師 相談ケース

50代高齢からでも教師になれる?志があっても現実は厳しい~あとは気力と体力のみ~

普通は定年後やある程度年を取ってからは、ゆるく小さい仕事へとシフトしていくもの。それは、気力と体力とが若いころと同じようにはいかなくなってくることが大きいと思われる。今回の相談者さんからの相談内容は、まさにこれとは逆を行くけっこうハードなチャレンジ!

彼は御年(おんとし)58歳の元会社員。「教師になる!」という強い覚悟のもと、65歳までは会社に残れたというのに退路を断って潔く?退職してしまったという。並々ならぬ彼の意気込みがメールからも伝わってきたので、私も本気にならざるを得ない。

長年(ユメザスの誕生は2016年のこと)相談業務に携わってきて様々な方たちとの出会いがあったが、中には半分冷やかしであったり、どうでもいいやという心持が伝わってくる相談内容の時も当然ある。そんなこんなでもくじけずに今日まで続けてこれたのも、今回のこのおじ様と同様、深刻な悩みを抱えていたり、とにかく前へ進みたい!という本気モード全開の相談者さんがほとんどだからだ。

この挑戦自体は果敢、アグレッシブですばらしいものであるとは思う。が、しかし現実、現場を知っている者からしたら手放しで応援できるものでもないし、他人だからと言って「はい、どうぞ、どうぞ!頑張ってくださいね!」などと無責任な現実ガン無視のきれいごとばかりを並べるわけにもいかない。

今回の相談のように高齢になってから、あえて教壇を目指す~というケースは一定の割合でいつの時代も存在する。なぜか?それは「それでもなお、やりたいから、なりたいから」以外のなにものでもないはず・・・これだけ様々な情報にアクセスできる現代である。ネガな情報、現実もすべて承知済みなのである。それでもなお、大(だい)の大人を突き動かす、それだけの魅力に溢れているのが、学校、教壇なのであろう。

しかし、現場に教師として一歩たりとも踏み入れたことのない者にとっての学校、教壇はややもするとまぼろし、幻想になりかねない。自らの思い描いている学校、あこがれ続けている教壇と現実とのギャップがありすぎるのである。

今回のおじ様は、まさしくそうなりかねない、まったくの教職未経験者であって、教育職員免許状さえも取得、所持していないまっさらの未来の先生なのであるのだから私も真剣、慎重にならざるを得なかった。

今回は高齢になってから教師を目指そうとしている方向けに、免許取得から取得後の入職までこころに留めておくべきこと、そして働き方までいっしょに考えていきたい。




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おじさんが教師を目指したワケ

この方のプロフィール、背景、目指す方向をプライバシーに配慮しつつ簡単に述べておくことも必要であろう。(もちろん相談内容のシェアには、本人の了承をもらっている)

➀ 出身学部学科:文学部国文学科

② 略歴:大学卒業後30年以上、製造業(主に自動車部品)に従事。営業、人事、経理を経て最終的には総務部部長職。

③ 教職経験:私学、国公立含めてまったくなし。塾、児童福祉施設等、民間教育機関経験も含めて一切なし。

④ 取得希望免許(校種、教科):小学校か高等学校商業で迷いに迷っている

⑤ 教免取得希望ルート:通信制大学

⑥ 教師を志した理由

☆ 自分の失われた青春を取り戻したい

☆ やり残したことであり、あこがれがある

☆ 娘が教職を中途退職した。子どものリベンジというより、どれだけ過酷なものなのか自分でリアルに感じてみたい

⑦ 小学校、高校商業を志した理由

☆ 小学校→基本、全科でクラスの子どもとの時間が多く持てること、丸抱えできることが魅力?!だそう・・・

☆ 高校商業→高校受験の時に実は商業科に進みたかったとのこと。しかし、進学の事を考え普通科に行ってしまったため、もう一度商業の勉強を一から学んでみたい。

⑧ 教免取得後の働き方の意向:常勤講師もしくは非常勤講師

⑨ 体力面、運動歴:スポーツ経験ほとんどなし、部活動経験なし、体力にはそれほど自信がないとのこと

⑩ PC、IT スキル:ネット閲覧とメール送受信程度のレベル(ちなみに携帯はスマホではなく、いまだにガラケーとのこと)



ここまでの背景を見てみてみなさんならどう思うであろうか? たいして現場に詳しくない人からしたって、大学通信教育のハードさ、これからの教育実習、そして何よりまったくの未経験、極めつけは体力自信なし~ということからして、ちょっとたいへんそうかも?~と思われるのではないだろうか?

たいへん失礼ながら、まさしく私もそう思ってしまう。ただそれ以上に私が危うい!と感じたのは、この方がこれからの人生において、何を自分の柱にして生きていくのか、まだまだおぼろげであるということなのである。せっかく意を決して途中で会社を辞めまでしたというのに、あこがれ、リベンジだとか、青春を取り戻したいとかなんとまあ乙女チックなのかと・・・(これからの人生のお金の現実問題として、豪遊さえしなければなんとかやっていけそうということなので、挫折したとしてもそれはそれでいい経験~くらいに考えていることも判明)

つまり、働き方、校種教科選択からしても教職において「自分が実現したいもの、目指したいもの」が今一つというかまったく私には見えてこなかったというのが正直な感想なのである。そこで、まずは、アルバイトでもパートでもなんでもやってみて経験してみることをおすすめした。

免許なしで勤めることのできる民間教育施設は結構あるある。学童保育、保育園保育士補助、学校補助者(スクール・サポート・スタッフ)、特別支援教育支援員、放課後デイサービス(児童指導員としてではなく、指導員として)、その他民間私塾、フリースクールサポートスタッフなどなど。

私のすすめがあってかどうかは定かではないが、いまこの未来先生は実は学童保育で週4日のパートに精を出していてもう4ヶ月になる。その仕事に従事しながら今なお、小学校全科か商業で迷っているという。時間は流れに流れ、決して戻ることはない。そして、未来先生に残された時間も若い人たちよりも少ないはずである。それなのに、それなのに未来先生はまだ迷える子羊状態なのだ・・・

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常勤講師と非常勤講師とでは
天と地ほどの差が・・・

前に「講師差別」について私の経験から話したことがあった。

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学校というところは本当に摩訶不思議なところで、子どもたちからしたらみな「先生」であっても、内実、教諭、講師とはキッチリカッチリすべてにおいて「線引き」されているものであり、その講師でさえ常勤と非常勤とではまるっきり扱いも違ってくる。この職階のすべてを体験して、いやというほど私は思い知ったものである。

常勤と非常勤の違いとは?・・・カンタンに言ってしまえば「お客様(扱い)」と「身内」ということになるだろう。(長くなるので、ここではあえて待遇の面には触れない)非常勤はあくまでも自分の持ちゴマの授業を普通に無難にこなすことだけを求められ(授業中の生徒指導ももちろん)、それ以上はハッキリ言って期待もされていない。

高校の大規模校などでは、いつ来ていつ帰ったのかなども教科内でも把握してなくて、当然朝の打ち合わせ、職会にも出ないので学校全体の流れなどもまるで分らない、教職員同士お互い名前も分らない~なんてことザラなのである。これではホントに「お客様」同然ではないか?

学校に何を求めるか?によって、働き方ということを考えていかなくてはならない。この未来先生のように「学園ドラマ」よろしく、カムバック青春~を望むのであれば、「非常勤」では何とも物足りなく感じること必至である。きっと、白湯のような何の味もしない味噌汁を「これが味噌汁だ!」と信じ込ませられて仕方なく飲んでいるような毎日を味わうことだろう。

なにせ、「常勤」であれば、正規(私立では専任とも言う)教員と同じレベル、ボリュームの仕事を要求されるし、中高であればあこがれの部活動もやり放題~ととにかく一挙に守備範囲が広がってくる。(ただ、地域差があって、高校では常勤講師に担任は持たせない~という自治体もかなり多いことは事実)

ということは、常勤講師は体力的にかなりハードであるということになる。学校という職場がやってもやっても仕事が雪崩のように押し寄せてきて、まるでキリがなく終わりというものがまったくない特殊なところであることはこれまでたくさん話してきた。そのために身体を壊し私は教壇を去った身である。正直、命拾いしたと思う。あの生活を続けていたら間違いなく身体かこころのどちらかが完全にぶち壊されていたことであろう。それくらい過酷であった。普通の人間の生活はまるで望めない、いや望んではいけない十数年間であった。

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教諭と非正規である常勤講師とはある意味、責任の度合いも異なってくるシーンも当然あるが、基本常勤講師は「フルタイム」であり、校務分掌も容赦なくそれなりに持たされることになる。勤務時間にこなせなかったタスクは当たり前のように時間外、もしくは持ち帰りとなる。当然超勤手当など正規と同じように付くはずもない。サービス残業やり放題をしあわせと感じる人はあまりいないだろう。

こういった職場に、この年齢で、しかもまったく持っての未経験状態で・・・私の経験からして、若い時分であっても未経験状態では慣れるので精いっぱいであった。想像以上に体力、気力、忍耐力を要するのである。さらにメンタル面の強さも要求される。学校という職場は自分の事だけでなく、全体を鳥瞰俯瞰する、できる「余裕」というものが要求されるところでもある。

また別の面からも心配なことがある。2030年に予定されている改定学習指導要領では、小学校から高校まで、情報教育と探求学習を融合させて拡充する方向である。学校のデジタル、IT活用を推進する「GIGAスクール構想」が始まって、現場では様々なデバイス、機器と向かい合わざるを得なくなってますます余裕がなくなった先生方の嘆きも漏れ聞こえてくる。昔の同僚などは授業で生成AIを活用して新たな授業スタイルを模索しているのだそう。ふた昔前の教科書読んで板書させて~の懐かしい授業スタイルはもう過去の遺物になりつつあるのである。未来先生は機械はとにかく苦手~とのことであったが、こういった最新の教育事情とも付き合っていかなくてはならないのである。タブレット、スマホもいじくったことがない~というのでは・・・心配である。

正直、かなりの困難、苦労が予想されるが、そんな心配不安を打ち消すくらいの魂のこもった熱意さえ本人にあれば突き進んでいけるのではなかろうか? しかし、実際問題としてかなりキツイ、体力的に。いくら熱い思いがあっても体力がこの先生はまったく自信がないと言っている。学校で10数時間仕事して、それだけで終わりとはいかないのが学校のすごさ。キツすぎて4~50代でやめたいという現場の人がたくさんいるというのにあえてそれをこれからやろうとしているのである。気力と体力の衰えにどう向き合うか?

そこで、免許取得後は、ゆるい時間講師から、まずはやってみて、ある程度、場数を踏めばまた違った景色が見えてくると思うので、そこからまた考えればいいのではないか?時間講師はまた、複数の学校で勤務でき、職階や働き方を選べることが正規や常勤にはない魅力。定年も当然ない。

いきなり現場にどっぷり果敢に飛び込んで、以下のような先生のようになってしまってはかわいそうではないか。

50歳代で、中学校教員に採用されたものです。今までは中学以外での臨時講師や非常勤が少しです。子供を育ててきた経験をいかせたらという思いがあり挑戦しました。 しかし、予想以上の激務や、自分の教員として適性のなさを痛感させられる毎日、また、独特の文化へのとまどいもあり、心身ともに壊れぎみになっています。これにともない家庭崩壊ぎみです。家族からは無理せず辞めるべきと言われています。 条件付き採用の1年で辞めることは非常識でしょうか? 教員不足が叫ばれるなか、この決断をしていいのか、ずっと迷っています。自分の甘さにもうんざりしています。同じように高齢で採用されて苦労されているかたはいませんか?

(ヤフー知恵袋より)50代で教採を突破してきた先生がコレなのである。これが現実!いままで未経験であったり非常勤、時間講師の経験しかない人は正直、かなり戸惑うことであろう。

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高等学校と小学校・・・かなりの違いが・・・

これで未だに迷っているというのも、気持ちがわからなくもないが、同じ子どもであっても、呼び方も「児童」「生徒」と異なるようにハッキリ言ってまるで違う人種である。小学校の低学年と中学年高学年でもそれぞれの特性があり、発達段階での違いがハッキリと見られるというのに、小学生と高校生とでは違いがありありすぎる。当然、話し方、話し言葉さえまるで違ったものになってくる。

自分は学校において何を目指し、何を実現したいのか?これさえハッキリさせれば自ずから答えは見えてくるだろうと思う。このディープすぎるテーマについては以下の記事などでもすでに話しているので、深堀り用にどうぞ。

教師を目指すなら、小学校?中学校?それとも高校?悩みスッキリ!①(小学校編)♪「be-ALIVE」山根康広

「教育学部の学生です。教育学部なので小中高それぞれの免許を取得予定ですが、みんな魅力があり、どの校種で受験したらいいのやら迷っています。」 それぞれに魅力的なところ、たいへんなところがあり、正直な話、 ...

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教員採用試験!小学校教師になるということ~もう一つの大事な視点からのアプローチ~

それぞれが魅力いっぱいに思えて目移りしちゃいますよね。でも教採で出願できるのはたいてい一校種のみ。 こども、学校が大好きなあなたなら、どれを選んだとしても後悔はないと思います。でも、小中高の6~18歳 ...

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公立vs私立高校教師「なるならどっちだ?」違いと特性からの選択②人間関係固定の恐怖~教員採用試験~

前回、教員採用試験を控えた「未来の先生」へのメッセージとして、「公立vs私立高校教師「なるならどっちだ?」違いと特性からの選択」の中で、その選択のポイントを私立学校の特性から切り込んで話しました。 い ...

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定時制高校教員って大変?ラク?どんな感じ?~異動で迷っている先生へのアドバイス!~

午後1時~10時勤務、夕方からはおいしい栄養満点の給食が食べられて、全日のような部活地獄はなし。一日のコマ数も少ないのでゆとりがある上、手当までつく。生徒、家庭環境はバラエティーに富みすぎ、実におもし ...

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教員採用!「通信制高校」という選択とその実態~一長一短~

教師をめざすみなさん!公立私立学校、塾、フリースクールなどの選択肢以外にも、実は人によってはおすすめな学校があるのです。それは「通信制高校」なのです!今日は私の通信制高校勤務の経験から、その魅力とたい ...

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高校商業の促成学習の難しさ

通信制大学での免許取得の大変さ

私が文学部出身でありながら、高校商業の免許のみを通信制大学で取得したことは前に詳しく話したが、ハッキリ言って「大変」の一言であった。私もこの方と同じように商業高校出身ではなかったが、社会人の時に必要に迫られて日商簿記の2級には合格はしていた。

教員になるならどっちだ?教育学部or文学部?~文学部で何を学ぶ?~

みなさんが高校生だとして、教育学部、文学部どちら出身の教師に国語を教えてもらいたいでしょうか?どうでしょうか?教えてもらう先生の出た学部、大学なんて生徒からしたら普通はどっちだっていいことですよね。要 ...

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それでも、日本大学通教部商業学科での単位修得は困難を極めた。科目修得試験を受けるためには必要単位分のレポートを提出し、かつそれに合格してないといけないのであるが、このレポート(当時は手書きであったが、最近、打ち込み方式に変わったらしい)を書くための勉強量が半端なく要求され、からにの量の参考文献を読み込み、自分のものとしたうえで自分なりの考察を論理的に述べてないとまず、レポート合格とはならない。

当然、指定教科書以外の参考図書は自腹であり、かなり大きな書店、図書館、大学図書館などでないと置いてないような専門書ばかりである。今であれば国会図書館デジタルコレクションなどのようなありとあらゆる図書を検索&閲覧&コピーまでしてくれる各種サービスが揃いにそろっている時代でもあるので、かなりの時間と労力は節約できるであろうが、それでも大変さに変わりは大してない。

なにせ、いくら資料、文献が揃えてレポートを大学に送ったとしても、返却されるスピードの遅いこと遅いこと。大学によっては、必要単位分のレポートが提出さえされていれば、その合否にかかわらず試験が受けられる~という所もあるらしいが、当時の日大はそうではなかった。何度やきもきしたことか。そのうえ、仮にレポートすべて提出して合格点をもらっても、科目修得試験に合格しないことにはその科目の単位は認められないのである。いちばんつらかったのは「経済原論」である。レポート、合計4通4種類が不合格になること、合計8回、やっとそのすべてに合格したかと思ったら、今度は科目修得試験で不可になること4回。何度諦めようかと思ったことか・・・(ちなみに私もこの方と同じように、最初は小学校免状を通信取得にチャレンジしたが、あまりにも多くの科目と実技科目の困難さにあえなく撃沈している)

当時の日大はレポートの内容に対する質問などできないシステムであり、なぜレポート、修得試験が不合格がなのかも、さっぱり自分でもわからずさまざまな参考図書、文献を買いあさり当時は夢にまで出てきたくらいである。数学的な素養も問われる学問であるのでとにかく難儀した。しまいには公務員試験、不動産鑑定士試験予備校の「経済学」のビデオ講座で学んだり~とありとあらゆる方法で攻略してやっとこすっとこの「合格」を勝ち取った時は泣けてきた。しかし、誰も助けてはくれない、我がで何とかするしかない~という状況下で自己と向き合ううちに「何か」が変わってきたのも事実である。我流ではあるが確実にチカラは少しづつ付いていったような気がする。




免状取得のための「通信制大学クリア」でもかなりの労力と時間を持っていかれるのに、教えるのに足り得る「高校商業の素養」を養うのはもっともっと確実にたいへんである。誰しも小中高と学んできて親しものある国語、社会のようにはいかず、ましてや商業高校出でもない。私は苦労した。知識、技術があったのは「商業簿記」「工業簿記」「会計学」くらいであった。高校商業のカバーするエリアはとにかく広い。会計学以外にも経済、ビジネス、経営、商業法規、情報処理、プロミラミング、マーケティング、商品&流通、金融、ビジネスマナー、その他の総合的な科目として「総合実践」「課題研究」まである。

これを教壇に立ったその日から「教師」として教授しなくてはならないのである。商業科教員の慣習として、自分の得意な分野に特化して持ちコマを担当する~という学校もあるであろうが、あくまで前提は「全科目」教えられる~である。ましてや「常勤講師」「非常勤講師」が選り好みできるポジションではないというのは分かり切ったこと。やるしかないのである。

これを速習する手立てなど、ハッキリ言ってない。「早い」「安い」「ウマい!」は成立しえないと断言できる。手っ取り早く、安直にしつらえた生半可な知識、技術など実際の授業では使えないものであり、子どもにとっての「ウマい」授業とはならない。やはり日々の鍛錬修練と場数、そして振り返りによってしか養えないものであると思う。

同じ道を辿ってきたものとして、これから「高校商業」は勧められない。余程のビジョン、志がない限りは・・・どちらか迷っているようでは先が見えている・・・

ただ、高校の免許があると、 常勤非常勤以外にも通信制高校のサポート校スタッフなど活躍のステージは確実に広がってくるのもまた事実である。こういったところでは、よほどの専門に特化した通信制高校出ない限り、商業の基礎科目程度で済み、それほど専門性は問われない。

免許取得の実際問題として、この方は大学を卒業しているので母校の教職課程のみを聴講生として履修して教員免許を取得する~という方法も考えられるが、出身学部は「文学部」であり、取得希望校種教科は「小学校」or「高校商業」なのでそれも叶わない。また一方、小学校教員資格認定試験ルートも考えられるが、これは圧倒的に教職経験者などが免除科目がたくさんあって圧倒的に有利であり、一からこの試験にチャレンジするのもまったくを持って現実的でない。となると、やはり通信制大学で卒業を目指さずに教員免許のみの取得を目指していく~というルートがいちばんであろう。

後悔しないための教員採用試験・教科(校種)選択~簿記でロマンは語れるのか~

正直、私の教科選択は失敗でした。とにかく一刻も早く教師になりたい、教採に合格したい一心で、当時倍率の低かった教科を選んでしまったのですから。文学・歴史が小さいころから大好きで教師を辞めた今でなお、これ ...

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通信制大学で教員免許取得!社会人から教師を目指す!☆やって、なってみてわかったメリットとデメリット!

教師への道は何も一つではないのです。社会人を経験したあなたの経験は、必ず教育現場でも生きます。 しかし、晴れて教師になるまでには、多くの困難も伴うのもこれまた事実。実際に通信で教員免許取得後、教師にな ...

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教育実習先確保
教科商業の場合、ハードル高し!

やっと通信制大学で免許取得の目途が立ったと思ったら、次に立ちはだかるのが「教育実習先確保」の問題である。「えっ、何が問題なの?」と思われる方がいるかもしれないが、たとえば本人が高校普通科卒業で、普通科で履修するような教科科目の実習希望の場合は問題ないのであるが(それでも受け入れは義務でも何でもなく、実習校の善意、厚意、任意)、普通科では通常、よほど就職する生徒が多い学校でない限り、商業科の基礎科目は履修させてはいない。ということは、商業科のある単独商業高校、総合学科などに個別に自分自身で実習依頼をかけなければならないのである。

私の場合、これがまた大変であった。母校は普通科であり、現在も商業科の科目など教育課程に組み込まれていない。当然、単独商業高校に依頼をかけてみたが、何度お願いしても門前払い・・・卒業生の実習で精一杯。卒業生であっても断って次年度に来てもらっている~とまで言われたらどすひようもない。そこで、市外、他県までアタックを試みたが、「お住いのところでお願いします」とにべもない。仕方なく、商業科目を教育過程に組み込んでいる普通高校にチャレンジしてみたが、「商業高校でお願いします」のたらい回しの憂き目にあう始末・・・取得見込みの年、次年度もこのような感じで実習の願い叶わず、とうとう3回目の泣きの懇願で、「そこまで本気なら・・・」と受け入れてくれた当時の教務の先生、教頭、指導教諭には頭が上がらない。

このように特殊な教科の場合、卒業校での履修がない教科のケースでは通信制大学の場合、実習先確保はかなり苦労するかもしれない。通学部であれば、自主確保原則の大学であっても、大学がある程度フォローはしてくれるが、通教生は孤軍奮闘もいいとこである。結局自分でなんとかするしかないのであるから。

前に教育実習のことをだいぶ詳しく話したのでここでの深入りは避けるが、正直なところ、実習生の受け入れは現場にとってかなりの負担である。教師の誰もがここをクリアして教壇に立っているのだが、特に指導教諭の重たさ大変さはかなりのものである。通常業務+指導教諭(だけで済まないのがさらに大変)だけでもアヘアヘなのに、さらにさらに寝る時間を無くす+通常業務がおろそかになるのダブルパンチでノックアウト寸前のところで私の場合、ゴング(実習終了)に救われた。こういう事情もあり、現場では相当本気の実習生でないと受け入れてはくれないのが現実であろう。

しかし、これまで見てきた幾多の困難を乗り越えて、晴れて免許取得を勝ち得た暁には、また違った景色が広がっていることであろうと思う。

教員不足、なり手がいない・・・とは言っても絶対的に足りていないのは、「正規」である教諭、「専任教諭」ではなく、あくまでも「講師」。(そもそも教諭を目指す人も減ってはいるのだが・・・)しかし、免許さえとってしまえば「講師」としての働き口がいくらでもある。そしてたとえ特殊な教科であっても地域、場所をえり好みしなければ需要はどこにでもあるのである。昨今は40~50歳代の正規採用も当たり前。ましてや非常勤講師は需要も多く当然高齢者もたくさん活躍している。要は熱意気力体力勝負!

どのような子どもであっても、等しく教育を受ける権利を持っている。ありとあらゆる子どもがいて当然なのが学校。おとなだって、教職員だってさまざまな人間がいてもいいではないか。なんでもかんでもそつなくクリアしてしまうスーパーマンのような先生だらけの学校はきっと息が詰まってしまうだろう。さまざまなバックグランドを持ち、子どもに寄り添っていける人間味あふれる先生もまた必要である。

未来先生の本気が本物であれば、私などが何も心配することなどないのかもしれない。

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