わが子かわいさゆえ・かわいいのであればこそ
新学年!あちらこちらで担任の「当たりはずれ」がささやかれる季節となりました。出会いの第一印象から時間の経過とともに「好き嫌い」が徐々に鮮明になり、一度刷り込まれた思いはそう簡単には変わらないものです。
保護者・父兄から見た、こういった好き嫌い、パッと見判断・・・人間ですもの仕方ありませんね。でもちょっと待ってください。保護者と担任である教師は「敵」でしょうか?決してそうではありませんよね。共に手を携え、子どもの教育にあたっていく同志のような存在のはずです。教師は「学校での親」なんて言われていた時代がほんとうに懐かしいです。
保護者と教師の関係がまずくなってしまうことは、当然子どもの教育にモロに影響していきます。好き嫌いといった感情面だけで、我が子の担任である教師を遠ざけてしまってほんとうによいものなのでしょうか?
担任であったものの立場からあえて言わせてもらえば、「キライ!」と感情をオモテに出してもらったほうが、まだ子どものためにはありがたいです。接触のチャンスがあるということは関係良好に繋がるかもしれないということなのですから。
イチバン困り、悲しいのは一切合切接触を持とうとしない親御さんなのです。こちらから電話、手紙、メール、生徒を通しての言伝(ことづて)等にまったく無反応&無関心・・・当然家庭訪問も拒絶、子どもを通してやっと取り付けたかと思ったせっかくの約束をもドタキャン・・・
そうなのです。学校での教育活動は、学校オンリーで完結するようなものでは決してなく、当たり前のことですが家庭の協力が何よりも不可欠なのです。
でもですね、親御さんが教員を値踏みし、好きだ嫌いだ~と言われるほうの教師もまた人間なのです。当然人間ですもの相手に対する「好き嫌い」の感情も持ってしまいます。もちろん、それにより生徒への対応を変えるなどということは決してしませんが、人間ですものひとさまに「キライだ!」と言われてうれしいわけはありません。
教師たるもの自分の「好き嫌い」の感情をオモテに出すことは許されませんが、心の中では教員はいつも葛藤しまくりで感情を抑えているのです。十年以上教師をやっていると、苦手であり対応に苦慮する父兄のパターンというのが見えてくるのです。当然、私の至らなさ、未熟さも手伝ったことは否定できませんが、誠心誠意尽くしてもこちらの気持が相手に必ず伝わる、報われるというものでもありません。
そこで今回は、教師と家庭とが良好な関係であり続けるためにはどうしたらよいのかを考えていくことにしました。そこで見えてきたのは「困った&苦手な親御さん」のパターンなのです。ということはこの逆であれば、教員から好印象を持たれる~ということになります。普段教員からみた保護者像~というのはなかなか見えてはこないものだと思います。しかし、ものごと何でも相手の立場に立ってみると、案外見えてくるものがあるのではないでしょうか。
はじめに断っておきますが、あくまでもこの両者の関係はフィフティフィフティのはずです。どちらが上とか下~なんてのはあり得ません。ということは学校&教師、ご家庭双方がお互いへんにへりくだったり相手に妙な遠慮なんかご無用ということです。
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①子どもを信用しない、嫌いな親!!
これだったら担任を嫌ってもらったほうがまだ救われます。何より子どもがかわいそうです。これは嫌い~という次元ではなく、たいへんな問題です。実際私もこういった親御さんと相対してきましたが子どもを相手にする前にまず、父兄と向き合わなければならないのですから、お互いに相当たいへんです。
親子関係がベタベタネッチョリもそれなりに大変ではありますが、子どもが嫌い、まったく話ができない、敵対している家庭は出発点からして、もうすでに「何か」がずれているのです。信用しろ~好きになれ~などと言われても長い間かけて今日まできた親子関係なのですから、今日担任になったものがその間に分け入って何ができることでしょう?こういったケースでは担任はツラいはなしですが、ほんとうに非力です。
そしてこのような場合、特に熱意あふれる若い教師などはとにかく家庭の深い領域にまで踏み込んでくることと思います。それをどうとらえようと親御さんの自由ではありますが、わかってやってください。クラス預かった担任としてはどの子もみなわが子のようにかわいいのです。
私もどこまで立ち入ってよいものか悩み迷い続けた日々がありました。そして時に身をわきまえない過分な言動も多々ありました。しかし、やはり担任としてできること・・・これには限りがあるのです。いいワケっぽくなってしまいますが、担任が預かっている子どもたちはクラスひとクラスなのです。その他の諸々の教育活動を合わせると途轍(とてつ)もない数のこどもたちになります。
そして愛情もやはり、血の濃い親御さんとはくらべものにはならないでしょう。普通はそうなのです。しかし、そうではない家庭が現実としてあります。三者面談の真っ最中、子どもを目の前にして「この子キライだからどうなったっていい!家のことはほおっておいてください・・・」などと言われた子ども・・・思い出しただけでまた胸が苦しくなります。
まずは、これまでの時間を取り戻すためにも子どもと真正面から向き合い。少しでも多くの時間をわが子と共有してください。担任として言えるのは悲しいことではありますが、このくらいなのです。
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学校に電話は何時まで?~勤務時間内にというけれど~保護者が学校、教師に電話するときにこころがけたいこと
普通、学校に電話するときって、子どもの欠席などの連絡以外はよほどのことでなければなかなかかけづらいものなのかもしれないですね。でも、受け手の学校からしてみると決してそのようなことはなく、家庭からの電話 ...
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②子どもの教育に必要な情報を隠す親
嘘を平気でつく親
家庭のプライベートな部分にまで担任は踏みこもうなどとは思っていません。担任であれば知っておかなければならない必要な情報というものがあります。一学年始まって間もないころ、いきなり教科担当から私のクラス生徒がひっくり返った~という緊急連絡が、授業中であった私のところへ入ってきました。
教科担任は「過呼吸」と言っていましたが駆け付けると、意識があるようなないようなうつろな目つきに変わっていましたので私は「てんかん」を疑い、養護教諭のもとに連れていきました。中学校からあがってくる学校保健調査等の申し送りにも何もなく、家庭からのメッセージにも何も問題はなかったのです。いったん症状(てんかん発作でした)が収まり、養護教諭の話では病院に行くまでもないということでしたので母親在宅を確認してから彼女を送り届けました。
そこで聞かされたのはやはりてんかん持ちであったということなのです。中学時代は不登校でほとんど学校にはいっておらず、この症状を隠し通せたものの、高校ではほぼ毎日登校してましたのでついに発作が出てきてしまったのでしょう。母親が言うには入試でも就職でも絶対差別されるので、隠しておきたかった~ということでした。
この生徒の場合、命にかかわるような事態にならなかったからよかったものの、死んでしまったら母親は一生悔やみ続けて生きていくことになったでしょう。このように、子どもの命、心身の健康にかかわること、進路に関することなどは少なくとも担任とは情報の共有を図っていくべきです。そうしてほしいのです。
常識を弁(わきま)えた普通の教員であれば(こういう書き方をしなくてはいけないのは心苦しいのですが、普通でない教員も普通に見受けられる昨今の事情を鑑みてこう書かざるを得ないのです)、生徒、家庭のプライバシーには細心の注意を払い、本人の不利益にならないよう努力するはずですのでどうかご安心ください。そして担任の先生を信用してあげてほしいのです。最初から開放的な教師もいれば、信頼されてはじめて心を開く教師も当然いることなのですから。
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③人の話をまったく聞かず、
子どもの話を鵜呑みにする親
わが子の意思、考えを尊重することは子どもの自主性を伸ばす意味でも良いことです。しかし、まだ生を受けて十数年の子どものことです。時には道を誤ることもあるでしょう。わが子のすべてを信じたい気持ちは分かりますが、担任と子ども・・・どちらも信用してもらいたいものです。
「子どもが嘘を言うはずがない、あの担任が嘘を言っているんだ・・・」学校という公的なところで働いている人間が早々容易(たやす)く嘘などつけないですよね。冷静になって考えれば分かることなのですが、子どもの言うことを妄信し、担任は完全に「悪」と一方的に決めてかかっているヒートアップした親御さんはなかなかむずかしいですね。
私が担任した中でも、想い出に残っている女子生徒がおります。学校での指導は素直に従うのに、家に帰って母親に事の顛末を話すと、どこでそんな話になるのか?というくらいまったくと言っていいほど作り上げた事実?になってしまう虚言癖を持った生徒でした。
彼女は指導歴(対教師暴力/暴言)がそれなりにあり、家庭の教育力もほとんど期待できないということで、入試の段階で中学校長からの申し送り事項で「×」のついた生徒でありました。(前にもはなしていますが、中学校で素行の悪かった生徒は往々にして学校長間申し送り事項で入試で採ってもらえません。中学校でこういった生徒が合格!となってしまうと、ほかに対して示しがつかないからと聞いております。定員割れの続いている指導困難校などでは、各自治体の教委から「よほどのことが無い限り、全員入れるように!」と通達が来ますが、最終的な合否の判断は入試会議で全体に諮るとは言え、学校長に委ねられているのです)
しかし、新入生の担任をすることになっていた私を含め3人の教師が入学を許可してくれるよう入試会議で強く懇願したため最後は学校長判断でなんとか入学できた生徒だったのです。
そんなこと当然母娘は露知らずですから、入学当初からいろいろやらかしてくれました。授業中携帯を使用していて、教科担当に取り上げられ担任預かりになったため家庭に連絡すると、「休み時間に普通にいじっていたら、担任にいきなり取り上げられた」になってしまっているのでした。
担任の力量をはかるために問題行動をあえて起こすのはよくあることですが、この親子と普通に話ができるようになるまでどれだけの時間、労力を要したかを考えると、あの時の自分たちの判断は正しかったのか?とさえ思えてくるのです。この生徒と相対するために他の子どもたちとの時間を犠牲にしていることは言うまでもありません。
彼女の場合、「虚言癖」のなかでもパーソナリティ障害という一種の疾患でしたので、付き合いは卒業まで続き、その時点で虚言癖は完治はしていませんでした。母親も愛娘がまさか病気であるとは最後まで思いたくなかったのでしょう。病院を受診させるのに一年以上かかったのですから・・・
このケースはあまりにも極端ではありますが、往々にしてさびしがり、プライドが高い、わがまま、目立ちたがり、自己中心的な子供などはどうしても嘘をついてしまうものです。
「子供の言っていることと学校サイドの話、どうも食い違っているけど、どっちが本当だろう?」
まずは、このうように思うのはどうでしょう?一方的に決めてかかるのではなく、ここは、子どものためにも問題を俯瞰鳥瞰(ふかんちょうかん)して「ちょっと待てよ・・・子どものことは信じてるけど、まさか学校だって嘘はつかないよな・・・」くらいにドーンと構えてもらえたら担任はほんとうに心強く、助かりますね。
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④担任・学校を「敵」とみなす親
攻撃的・挑発的・感情的に 追い詰める親
ハナから信用せずバカにする親
そもそも家庭と学校の関係とはどういったあいだがらなのでしょうか?「敵」でしょうか?そこまではいかなくとも「消費者契約」くらいに考えてしまっている親御さんは最近は多いように痛感しています。「お客様」意識丸出しで常に上から目線・・・担任だって人間です。いい感じはしませんよね。こういった親御さんは、これでしっかり自分たちの利益を守っているように思っているのでしょうが結局のところ大損しているのです。
こういった感じの悪い応対を受けたからといって、ほとんどの担任は生徒同士を差別なんかしたりしません。当然。いま「ほとんど」と言ったのは「すべて」じゃないからです。昨今、教師による児童生徒いじめ・差別が問題になっていますが、こういった対象になるのは担任とうまくいっていない家庭の子どもがほとんどであるのを知っているのでしょうか?
もちろん表立ってあからさまにやるほど教員もバカではありません。時間をかっけてじっくりとねっとり~精神的に追い詰めていく・・・怖いですね。
だからといって担任にへつらえ~と言っているのではありません。常識をわきまえてあくまで普通に~と言っているのです。すべては子どものためです。繰り返しになりますが、学校と家庭はいっしょに子供の将来を見守っていく同志のような存在のはずです。良好な関係構築につとめ、問題があったときなどはいきなり激高などするのではなく、段階を踏んで落ち着いて対処すべきです。
個人、一家庭で学校とことを構える程度であったらまだ救われるのですが、他の家庭を煽り扇動(せんどう)する家庭がいちばん担任サイドとしては困りものです。前に頭髪指導の難しさについて「ブラック校則?頭髪指導の難しさ~心に響かなかった私の失敗~信じて待つ」でも話しましたが、こちらの家庭は「学校の頭髪指導には従えない!」と公言し、他の家庭を扇動、巻き込むなどの行動に出たのでした。
早い段階から話し合いの機会を何とか持とうという私の焦りもよくなかったのかもしれません。こういった家庭の場合の対処は、かなりの慎重さが求められるのですが、家庭としては他を巻き込むことだけはやめておいてほしいのです。学校と問題がこじれて最終的に家庭が折れることになった時、今度は家庭同士で対立が始まることはよくあることです。
どうしても納得がいかない、許せない~というときこそ、まずは冷静になり、子どもと自分たちを守るためにはどうしていったら良いか慎重に慎重を重ねて考えるべきです。敵対心からは何も良い結果、果実など得られるはずもないのです。
教職員を攻撃し続け、追い詰めていく行為は暴挙でしかないでしょう。結局火の粉は自らに降りかかってくることを覚悟しなければなりません。
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⑤連絡の全くつかない家庭
(そして、まったくこの逆の家庭)
時と場合にもよりますが、何でもものごとには適度な距離、タイミングというものがあります。緊急であれば24時間家庭訪問も辞しはしませんが、たいていは電話、文書、メールなどで済まされるはずです。子どもに文書を持たせても、留守電に何度メッセージをいれてもまったく連絡のつかない家庭というものが実際あります。もちろん、ご家庭もそれぞれの事情があり、忙しいのは理解してはおります。それでも、担任がアクションを起こしたら、忙しい合間を縫ってでも、わが子のためにコンタクトを取ってください。
これも担任としては実にイタいことなのです。何より間をおかず急ぎで確認、伝えたいことがあるからこちらはアクションを起こしているのに、まったくの無反応ではタイミングを逃してしまいます。そしてそれがお前の仕事だろう~と言われればそれまでですが、何度も何度も繰り返し連絡する精神的ダメージと時間的損失がけっこう来ます。当たり前のことですが、担任が預かっている子どもは親御さんのお子さんひとりきりではないのです。
逆に連絡がまったくつかないどころか、何も問題がない(と思われる)のに、必要以上に一日何度も子どもの様子を聞きたいがために学校に電話してきたり、深夜それも午前様に携帯を何度もならす親御さんなどは勘弁してもらいたいものです。
石川県小松市の稚松小学校では、平日の夜7時以降や土日は緊急時以外電話をしないよう、今年の10月から保護者に要請したとのことです。ひと昔ののんびりとした小学校の風景を思い出す時、なんとも世知辛くてなごめない感じがして仕方ないのですが、教員の過重労働の残酷さが問題になっている今、いたしかたないことなのかもしれません。
緊急時はもちろん別ですが、それでも少ない睡眠時間をやっと確保して眠りについたかと思ったら、すぐ起こされるというのははけっこうしんどいものです。ちょっとはわかってあげてください。
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⑥してもらって当たり前の家庭
学校もある意味、一種のサービス業なのかもしれませんが、家庭と学校とは消費者契約、それも卒業までの期間限定で結ばれているとは思いたくありません。親しき中にも礼儀あり~です。礼節をわきまえないうえ常に高飛車な態度でいることは結局、大損なのです。馬鹿にされないよう、弱みを見せないよう~と、もちろんいろいろ理由はあるのでしょうが、教師もまた人間です。こういった応対を受けて快い気分にはなかなかなれません。
繰り返しになりますが別に教員にへつらえ~などと言っているのではありません。お世辞やヨイショ、持ち上げてもらっていい気分になる教員もそれは当然いるのでしょうが、こういった行為は心ある教師ならきっと嫌悪感を抱(いだ)くことでしょう。そうではなく、社会人同士、大人として「普通に」「常識的に」相対してもらいたいだけなのです。
前にも話しましたが、学校で急に高熱を出し病院に連れていったり、検定試験前に補習をやったりと~学校での何でもないようなちょっとしたことでも、一筆箋に文をしたためて娘に持たせてる親御さんなどは自分も素直に見習いたいなと思ったものです。
いまは、公立私学問わず、業者に依頼して学内SNSを立ち上げ連絡網として使用している学校が普通にある時代ですが、直筆で相手のことを思いながら認(したた)めた手紙というのは私は捨てられません。こういうせわしく、みな生き急ぎ、世知辛い世の中だからこそ、私たちは手紙の効用というののを見直すべきなのかもしれません。いつの時代も、相手を思いやる余裕のある人というのはステキですね。
※ 「手紙」の学校現場での活用法!手紙のパワーってやっぱすごいね!この思い今、伝えたい!「手紙を書こう!」
視点を変えてみてみると、「してもらって当たり前」体質の人は、自分たちの利益のみを主張する傾向が強いと言えます。他への影響を全く考えず、「自分が自分が」を第一なのです。ご家庭からしたら、自分たちと教師~という構図のみなのでしょうが、教員一人が相対しなくてはならない家庭は一クラス分の家庭プラスアルファなのです。
現役時代のある一時期は、自分の受け持ちクラスに加え、部活動も当然持ち、生徒会、指導部、各種委員会などなどにも所属しておりましたので、こういった生徒の家庭も含めるとそれなりの数の父兄と相対することになるのです。
自分たちが一番に優遇されたいという気持ちは自然な欲求ですが、ちょっとでも全体を見渡せる余裕をもっていただけると担任はほんとうに救われます。
⑦提出物✖、各種納入金✖
お金の約束と時間を守れない家庭は担任泣かせ
これもまた、担任からしたら、トホホものなのです。提出期限のあるものならなおさらです。遅れるのであれば、それなりの対処の仕方というものがあるはずです。連絡も何もなしでほおっておくということは社会人としていかがなものでしょうか?
そして納入金ですが、こちらだけは問題の根が深いです。家庭の経済状況はさまざまです。公的私的含めて各種援助を受けている家庭はまだいいのですが、年度初めの一括納入金未払い、修学旅行積立金引き落としストップ・・・それぞれ人には家庭には事情があることは分かりますがこれでは子どもがかわいそうです。
私が担任をしていた時分には、子どもがアルバイトで授業料を含めすべて修学にかかわる費用は捻出し、その上家庭にお金を入れていたという生徒までおりました。親とは子どもとは・・・考えさせられました。
私が初めて担任を持った時の失敗ですが、こういった納入金未納の家庭の負担分をすべて立替ていたのでした。まさに身をわきまえない幼い行動だったといまでは思います。当時はそれが最善と思ったのでしょうが、高みから見下ろしていると非難されても何も言えないでしょう。当然、当たり前のように未納のまま卒業していった家庭もありました。
厳しい言い方になりますが、子どものため、納入金だけはほかのモノを削ってでも最優先に位置付けるべきです。それでもどうしても捻出ができない~という場合であっても子どもに学校を続けさせる手立てはいくらでもあります。
「担任にお金のことなどで相談するのは恥ずかしい、イヤ!」気持ちはもちろん理解できますが、すべては子どものためです。こういった時のために担任がいるのです。お医者さんに行くのに「病気で恥ずかしい」と言う人はいないです。担任を長くやっていると、むしろこのうようなケースには慣れっこになっているのですから、なんら臆することはないのです。
⑧飛び越えクレームは最悪極悪の印象!
主張は必ず段階を踏んでからが結局は得!
お互い人間ですもの、時には行き違いだったり誤解というものがあるものです。クレームだってきちんと聞く耳は担任であれば普通は持っています。それが担任を飛び越えてのいきなりの学校長、教育委員会、果ては地元選出の各種自治体議員、国会議員へのダイレクトクレームとなると事情が違ってきます。
特に学校、教育委員会などはこういったクレーム連絡にはある意味慣れておりますので、事が緊急・重大なものかどうかを精査し、担任に落ち度がないと分かれば「こういう電話あったよ、一応伝えておくからね・・・」程度のものなのです。親御さんとしては、飛び越えてクレーム入れれば本人はきっと困り果てると思うのでしょうが、必ずしもそうではないのです。ましてや管理職、教育委員会は身内です。こういう体質がいいか悪いかはここでは別にして、当然守る、かばう傾向が強いです。
担任も誠実な人間であれば自分に向けられたクレームがまじめなものであり、自分に正すべきところがあるものであればきちっと向き合うはずです。そこのところを理解していただけないでしょうか?
ただですね、事案が大きく緊急性を要する場合は、事情が異なってきます。いじめ、生徒間トラブルなどで悩んでいて、担任、学校に何度も相談しているのにまともに取り合ってくれない・・・
このようなケースでは、いつまでたってもまともに対処してくれない学校、教員を見限る判断が必要になってきます。最近ではいじめ問題で学校に相談したにもかかわらず、相手にしてもらえなかった家庭がユーチューバーに相談して学校、教育委員会を動かした事案が大々的に報じられました。
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高校2年の男子生徒は、2021年2月から起きているいじめに対して、学校や教育委員会に相談したものの解決せず、相談時である12月時点でも学校に通えていないことを告白。画びょうを入れられたり、机に悪口を書かれるなどのいじめを受け、死のうと思ったこともあると打ち明けている。 これを受けて石田さんは、生徒の保護者から委任状を受けたうえで学校に赴き、「加害者の生徒と直接話したい」「なぜ10カ月も事態が進まないのか」などと教頭等と直接やり取り。しかし事態が改善しなかったため、学校名を明らかにしたうえでやり取りの様子を動画で公開するに至ったというわけだ。
これに対して、生徒の友だちからも、「いじめがあるのは事実」「学校が隠蔽している」という声が寄せられているという。動画公開後、石田さんのもとにはほかのいじめられている子どもや保護者からも多く反響がきており、同学校でいじめられて退学したという女子学生からもDMがきたそうだ。 このいじめに関して計3本の動画が公開されているが、執筆時点で約470万回再生に。その結果、教育委員会は男子生徒と退学した女子生徒のそれぞれをいじめの重大事態と認定、第三者委員会を設置して調査を開始するとしている。それまで10カ月も動かなかった事態が、YouTuberの動画公開によって動いたというわけだ。
出典「東洋経済オンライン」
このケースでは教育委員会に相談までしたのに、この体たらくです。教育委員会に話したからと言って、必ずしもすべてが解決するわけでもない好例です。
それで仕方なく男子生徒もユーチューバーを頼ったのでしょう。高校名を出しての動画の公開については意見が分かれるところでしょう。しかし、本人はむしろ「いじめの事実を知ってもらいたかった。自分も親も笑うようになった、心の持ちようが軽くなった」と話していることが何よりの救いです。
石田さんの場合、父兄から委任状を取って無報酬でやったことですから法的な問題は何もありませんが、これが何らかの報酬を得て学校などと「交渉」をする業者モドキに依頼するとなると、弁護士法72条に反する「非弁行為(ひべんこうい)」に該当してしまうので注意が必要です。
※ 注意 ※ いじめ問題を扱う「探偵」はいじめの事実を徹底的に調査、証拠の確保に努めるまでが彼らの仕事です。(もちろん、報酬を得てです)そこから先の交渉事はできませんし、やりません。
このように、現在では必ずしも利害関係を伴わない「第三者」、SNS等の世論が社会全体を動かし問題解決へと導く事例が増えてきています。当サイトで寄せられる相談も、サイトの性格上、「教師になりたい!」「辞めたい!」という相談がグンバツで多いですが、最近では教員同士のトラブル、教師家庭間トラブル、教員生徒間恋愛の相談事例も少なからず寄せられるようになってきているのが現状です。
問題を冷静に見つめなおし、どのように動いたらよいか~の見極めが非常に大切になってきます。
⑨常識のない親
非常識な親
子どもより「コドモ」な親
こういった表現ははなはだ失礼であることは重々承知してはいるのですが、本当にいるのですからこちらもけっこう大変です。子どもの指導で学校に呼ばれた時、校長からの説諭を腕・足を組みガムを噛みながら聞き~果ては注意すると「なんでガムかんじゃいけないんだ?別に話は聞けるだろう?」と怒鳴りだす親。
「幼なじみ?」と一瞬思ってしまうようないやになれなれしいタメ語で語り掛けてくる親。学校の敷地内、クルマ乗り入れ禁止であるにも関わらず、毎日わが子の送迎をきっちりやり遂げる親御さん、子どもの指導呼び出しに親が出てこず、その代わり?にこれまた年子の高校生である兄弟を出させた親。
一方的な生徒間暴力で謝罪のため、父子同伴で担任と一緒に当該家庭を訪問した時、相手の母親と父親からなじられこともあろうか逆切れしてしまい今度は一方的にこの両親に殴り掛かり、私と加害生徒が二人がかりで必死に止めた事例・・・枚挙にいとまがないくらいビックリするようなトンデモ珍事がたくさんです。
高校生の子どもを持つ年齢になってまで、常識がない~と他人に言われるくらいですから一介の担任があれやこれやと言ったところで何が変わるでしょう。正直な話、子どもはヤンチャをするのが当たり前で、担任であればどのようなことであっても苦も苦などとは思いませんが、親御さんと話が通じない、一方通行~というのは本当に精神的にシンドイものです。
子どもは親の背中を見て育つ~と言いますが反面教師にだけはなりたくないものです。
⑩理不尽な要求を突きつける親
できることとできないことがある!
★学校の指導で預かりとなった期間分の携帯使用料を支払え!
★健康上の理由など何もないのに、子どもの修学旅行に同行したい!
★クラスの子どもとの相性が悪いので、その子供を退学にしろ、(年度途中にもかかわらず)クラス替えをしろ!
★子供を社会勉強のため家族で海外旅行に行かせるので公欠扱いにしろ!
★対教師暴言暴力で指導になった子どもの学校側の指導が不服と授業中の教科担当に食って掛かった親!
これ以上、例を挙げるとここでは話しきれないくらいのボリュームになりますのでやめておきますが、これらの要求のいちばんつらいところは、かたくなにその姿勢を貫き通そうとするところなのです。いくら言ってもいくら話し合いを続けても分かってもらえないのです。こういったことに費やす時間をもっと子どもたちのために使いたいと思うのは担任のわがままなのでしょうか?
子どものこれからのためにお互い対等の立場で、何でも話し合うことのできる関係こそ大事です。相手の気持ち、立場を考えないで要求を一方的に貫き通そうとするのは子どものことを考えたらできないことですね。
最後に現場で奮闘している若い教師のために一言だけ言わせてください。
親御さんのお子さんの担任が初任者、もしくは比較的経験の浅い先生だったりするかもしれません。どうかおおらかな目で見てやってください。
彼らの幼さからくるちょっとしたことなどは、長い目で見てあげて欲しいのです。それでも若い先生たちが道を誤ったり、「ちょっとそれは違うんじゃないか?」ということがあったなら遠慮なしに、人生、社会人の先輩としても言うべきことはキチンと言うべきです。(親御さんのちょっとした気遣いを添えてのほうがいいでしょう)
あくまでも学校教師は、子どもの教育のパートナーとしてとらえるべきであって、決して敵ではないのです。
こういったあたたかな気持ちで接してくれる親御さんが一人いるだけで、教師はほんとうに救われるものなのです。疲れなど吹っ飛ぶくらいうれしいものなのです。一人の若い教師を潰すのも、育てていくのも親御さんの気持ち一つにかかっているとも言えるでしょう。
⑪付け届け(贈り物)攻撃?が大好きな親!
私が中学生の時分は、高校入試の合格報告は担任だけでなく、なぜか校長室訪問が父兄同伴で必須でした。今の時代からしたらおよそ考えられないことですがこんな時代もあったのです。当然?手ぶらでいけるはずもなく親はちょっとした手土産と「ほんの気持ち」を携えて校長室のドアをノックしました。開けてびっくりドンキーじゃなくって、アッと驚く為五郎の世界でした。
校長室のだだっ広い机の上にお盆が載せられていて。その上に「おつつみ(現金)」が3列に分かれて高く高く積み重ねられていたのでした。それだけでなく、校長のバックには熨斗のついたお酒などのでっかい包み、箱などがこれまた壁面を覆いつくすかのように高くこれまた高く積み重ねられていたのでした。家の者が持参した手土産などがみすぼらしく見え、気恥ずかしいような心持だったことを記憶しています。
今でもそこそこアリなのでしょうが、私の現役時代にも父兄よりモノをいただくことは結構ありました。子供の卒業時に、ちょっとしたこちらが負担にならないような現金以外の品物は、あとからお礼はするものの快くいただいておりましたが、値の張るモノ、商品券、現金の類は丁重に相手の気分を害しないように断ってきました。
指導その他の家庭訪問時に、ちょっとした家にあるお菓子などをもらったりご飯を呼ばれることは結構よくあることで、これもまた意見は分かれるのでしょうが許容範囲と私は捉えておりました。しかし、現金の類になると話は別です。
子どもの卒業時に教員に商品券などの金券を贈ること自体、金額の多寡の関係なしにアウトなのでしょうが、まだ救われます。なぜなら、基本もう学校に来ない子どもなのに、そこには「これまでお世話になりました!」の気持ちが込められているからです。私も留年生(それも3留生で卒業時は成人になっておりました)を2年時より受け持ち、なんとか本人の努力もあり卒業までこぎつけた時など、母親からいたくありがたがられて卒業時の最後のクラス会の後、手渡しで手紙を受け取りました。しかし、その中には手紙だけではなく、現金10万円も一緒に入っていたのです。
その後、何度もコンタクトを取ったり自宅に直接行ったりしてお返ししようすれども受け取ってもらえず、全額を返すのも相手に失礼かと思い、生徒を呼び出し「9万円」を図書券で手渡しました。もちろん管理職にも当該父兄にも連絡してからです。
しかし、卒業してからではなく在学中に金券、モノなどを一方的に教員に贈る行為はNGでしょう。なぜならそこには、「イマ、なんとかよろしくね!」という「見返り」の意味合いがあるからです。贈る行為自体もいけませんが、いちばん危険なのは「見つからなければいい」こと幸いにホイホイと受け取ってしまう教員です。
普通の常識&良識を持った教師であるならば、こういった行為に対しては丁重に断りを入れるはずです。ご家庭の気持ちはうれしいですが、そこはグッとおさえてせめて手紙くらいにしてもらえるとありがたいですね。
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高校生が退学になるとき!学校の事情と生徒の言い分!~退学の持つ意味とその重さ~
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⑫親の学歴を鼻にかけ、教師を見下ろす感じの親
最近では、教員よりも親御さんの方が高学歴/高キャリア/ハイスペックというパターンも多いのではないでしょうか? 一介の教員など大学を卒業して教採に合格さえすれば誰でもなれるのですから、教師が知的な聖職者としてそれなりに敬まわれていた時代はもうはるか昔のことです。それは教員サイドもほとんどが理解していることでしょう。
しかし、中には自分の学歴、現在のポジション(大学教授、どこどこの社長、経営者、だれだれのスゴイツテがある・・・)などを武器に教職員にプレッシャーをかけ高圧的な態度に出る親御さんもたまにおります。こういった行いもまたすべて自分たちにはね返ってくるのです。
協力的でないだけならまだしも、攻撃的、挑戦的な態度に出られてもほとほと困ってしまいます。「いったいこの人は何がしたいんだろう?」と思ってしまうのです。はじめての新入生父兄会でそれぞれが自己紹介をしていたときのことです。ある生徒の父兄が自分が出た大学、大学院、そしてこれまでのキャリア、しまいには著書の紹介まで始める始末です。それも何冊も・・・高校教員から一転、大学教授になるまでの華々しいキャリアの紹介~と延々ひとりで15分使い切りました。
「やっとこ終わった!」とほっとしたのもつかの間。今度は私に対する説教じみたありがたいおはなしです。「だからいつまでたってもたかだか高校教員なんだ!」「それで満足なのか?!」みたいなご高説が延々と続くのです。「いくらなんでも初対面でそれはないでしょ?」「好きでやっているのに、別に大学教員になんかなりたかないね!」とのどまで出かかりましたが、ありがたく拝聴し続けた私でした。彼からすると大学教員はエライ!高校教員なんて下もした!ということのようです。まあ実際その通りなのでしょうが、下とか上とか教授の肩書まで持っている人がこうも次元の低い話しかできないという現実にいささかげんなりしました。
この方は大学の教員でしたが、中には小中高教師、あるいは幼稚園教諭、保育士というパターンも当然けっこうあります。ほとんどの親御さんは教員同士ということで教師のたいへんさを理解してくれていて協力的で本当に助かったのですが、中には自己の教育理念に合わないとわかると途端に豹変する方もたまにいたりします。かたくなにご自分の教育観、理念をこどもの通っている学校にまで無理強いするのですからしんどいですね。
お互い、傷つけあって何か得るものがあるのでしょうか?
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⑬子どもを溺愛し、ズブズブベトベトの親子関係
子どもを客観的に見ることができない親
これは、「➀」のパターンと逆に近いものですが、周囲から見てこういった状況に陥っているのは誰の眼にも明らかなのに、自分たちで気づいていないのが何よりも恐ろしく、問題をさらにさらに困難にしていきます。
盲目の愛と言えば聞こえは良いですが、子どもと真剣に向き合い正視したうえで、子どもを無条件に受け入れる~というのであれば問題はないのでしょうが、ダメなものをダメとも言えないズブズブなあなあの関係で何が愛なのでしょうか?!
言葉が過ぎるかもしれませんが、傍から見て本当に気持ちが悪くなるようなそのような親子関係である家庭は結構あるものです。問題を一層困難なものにしているのは、自分たちで自らを省みることができないでいること。いや、わかってはいるのだけれどあえて、現実と向き合おうとしないことなのかもしれません。
こればかりは、一度出来上がってしまった親子関係、一介の教師がどうのこうのできる問題ではないでしょう。なにせ、子供と親御さんは一日の半分近くを家庭ですごすのですから・・・みなさんのまわりにもこういった方、いないでしょうか。高校生にもなって母親と一緒に風呂に入る男子生徒、姉妹親友のような間がらで、親の威厳が欠落している親子関係、自分の子どもが悪いことをするなんてあり得ない・・・と信じてやまない、絶対に認めようとしない親・・・挙げていったらキリがありませんのでここらあたりでやめておきますが、私たちはどんなときでも、周りを見渡す余裕を持ちたいものですね。
⑭教育虐待に近い状態なのに気づけないでいる家庭
たとえとして出すには、「医学部9浪を強いられた娘が母親をメッタ刺し事件」はあまりにも極端すぎる例でしょうか?!私にはこの種の事件は一歩間違えば、どこの家庭でも起こり得るものであると思えるのです。ここまではいかないにしても、あまりにもひどい事例は枚挙にいとまがありません。
➀ 保育士志望の娘は学費捻出の理由の他、もろもろの事情で家を出たがっているのに、家に縛り付け風俗店勤務をあくまで強いる親
② 子どもは自動車整備士になりたがっているのに、公務員以外の道は認めないと頑として譲らない親
③ 子どもは好きで陸上やっているのに、受験に専念させたいからという親の勝手極まりない一念で、顧問にかけあい勝手に辞めさせてしまった親
④ 子どもはアルバイト代のほとんどを家に入れているというのに、子どもには昼の弁当代を一銭も渡さないので、教室に居場所がないこどもは地獄の昼食時間を過ごしているという現実
⑤ 別にサッカーなどやりたくもないのに、親が昔やってたからという理由だけで部活を強制する親
こちらも挙げて行ったら日が暮れそうですのでここらでやめにしておきますが、全部これ実際、私の担任していた家庭で起こったことです。教育虐待は「心理的虐待」「経済的虐待」(「性的虐待」も当然含まれますが、割合的には少ないのでここでは割愛します。)の2つに大きく分けられますが、この二者は複雑に絡み合っていることが非常に多いです。
子どもを自己の所有物とみなし、子どもの人格を認めない、子どもの人権まるで無視~という根本姿勢がこういった親には共通しています。こういった親御さんに対していて一教師ができることなんて高が知れていますが、教師であるならば前へ進むしかありません。たとえ年端は行かなくとも、一人の人間として同じ人として子供を認めてほしい・・・ただそれだけなのです。
⑮最初から学校には何も期待しない、冷めた親
最後になりますが、実はこういった親御さんがいちばん相対しづらく難しいおうちだと思います。ぶつかってきてくれるならまだしも、最初から最後まで学校とはかかわりたくない、期待もしていない。お好きにどうぞ!って感じです。⑤とかぶる部分もあるのですが、一応連絡はつきますし拒否もありません。しかし、とにかくとらえどころがないのです。
学校とは教員とはこんなものだ・・・と決めてかかり、とにかくこちらからアクションを起こしても、ボールを投げかけても受け取られたままで返っては来ないのです。無反応というか、とにかく会話が成り立ちませんので相手の考えていることがまるでつかめないのです。
ご家庭にもいろいろ事情は当然おありなのでしょうが、これは一番の教員泣かせです。お願いです。何でもいいのです。今、思っていること感じていること、教師にぶつけてくださいませんか?
それでもどうしても信用できない教員はいる!
アクションを起こすべき!!
10のパターンとか言ってて、オーバーして「15」にもなってしまいました。ちょっと時間をかけてそれぞれのパターンを見てきましたが、これは担任から見た「困った!」「苦手!」「しんどい!」パターンです。当然、父兄、親御さんからみて「困った!」「苦手!」「ふざけるな!」「許せん!!」的な担任のパターンもあることでしょう。そこは人間同士のことです。どちらもいがみあっていれば、ずっとそのままで関係悪化の一途をたどるばかりです。
つきあっていくしかないのであれば、やはりどちらかが歩み寄るしかないのではないでしょうか?
しかし、それでも単に苦手なだけでなく「分かり合えない」「この人間だけは信用できない、ダメだ!」という担任だって世の中にはいることでしょう。道を踏み外す教員が多い昨今、こういった困った人たちの被害に遭われている家庭、こどもたちもきっと多いことと思います。
このような場合、いったいぜんたい家庭としてはどうしていったらよいのでしょうか?
このような場合、担任との接触にこれ以上深入りするのは危険です。問題がこじれてさらに被害が拡大、関係が悪化する恐れがあるからです。このようなケースでは、最初に担任と事にあった経緯を文書に簡潔にまとめた上で、教頭、もしくは学年主任にまずはじめに相談するのがよいでしょう。担任、当該教職員の了承を得るかどうかはケースバイケースです。あまりにも酷く悪質な場合などは本人の了承など必要ないと私は思います。
そのうえで、これからいったいどのようにしていったらよいのかを一緒に考えていくのです。私立の一部では、こういった問題が起こった時には「学校コーディーネーター」のような人が問題解決にあたってくれるのですが、公立などではまずそのような環境は望めないでしょうから、親であるみなさんが慎重に考えて行動に移すしかないのです。
このとき、ご自分がいちばん上手に伝えられる方法を選ぶとともに、相手の立場、心情、環境などもそれなりに考えてあげたほうがよいでしょう。一部の例外的な「告発」を除いて、匿名での相談はご法度です。相談の信用度、真剣度がガタ落ちです。
また、こういった相談事で個人的な感情、思いが入り混じってしまうのはどうしようもないことなのかもしれませんが、そこはグッとこらえてください。あくまでも「事実」のみを事実として伝えることにのみ注力し、ご自分の思いは最後にちょっとつく加えるだけにした方が高感度もアップします。隠れた想いは忍ばせつつにおわせつつも、「残念だ」「心配だ」に徹し、相手への過激&攻撃的感情の吐露は極力控えた方が無難でしょう。
これまた繰り返しになりますが、何段階も飛び越えて学校長、教育委員会などへダイレクトに話を持って行くのは最悪極悪の印象を持たれてしまうこと必定です。もっとも、持ってこられたほうも、「?」「はぁ~」とため息になってしまいますが。
教育員会の教育長、教育委員を除いた事務職員の半数以上は「指導主事」などという職名のついた管理職(教頭/校長など)予備軍です。教員免許を持ったいわば身内であり、そのうえ彼らにとって当該問題は初耳のことなのですから、まず問題を持って行く場所としては、もっともふさわしくない場所であることがわかりすぎです。
もし、これらの人たちに話を持っていきたいのであれば必ずしかるべき段階を経てからにすべきです。
付随した話になりますが、卒業年度ではなく、お子さんが一二年生なのであれば、次年度向けに「打つ手」がないわけでもありません。普通はクラス替えがあった際に担任も変わりますが、この時がチャンスです。「担任を変えてほしい!」~という要望を事前に学校サイドに伝えておくのです。
前に「クラス替えの決め方を知り、意中のあの子と一緒になる方法~恐怖!クラス替えの実態~」でも詳しく話していますが、クラス替えを割り振る絶対的な権限は普通、管理職などではなく新学年の学年主任に委ねられております。そのうえで主任が学年構成員の希望をききつつ、いろいろな事情を考慮して一クラスの組合せを決定し、決まった各クラスをそれぞれの構成員が順番に取っていく~このパターンが主流かと思います。いわば、担任サイドも「この子はクラスに必要だから、わがクラスにゼッタイほしい!」「この子とは一年間ウマがどうしても合わなかったから、この子だけは勘弁してほしい!その代わりあなたが苦手なこの子、引き受けるよ!」~などのさまざまな人員取引、トレードが水面下で行われているのです。
教員サイドではこういった作業が行われているのですから、事前にそういった「正当な」要望が出ていれば、それらは十二分に考慮されることでしょう。担任に直接「アンタ嫌だから変えてくれ!」と言えないのであれば学年主任などに伝えるのがよいでしょう。
ちなみにわれわれ教師サイドではご家庭からの「要求」をおおまかに以下のような「3つ」にわけて考え対処しております。
➀ 当然、受け止められるべき「要望」
② 事情によっては対処すべき「苦情」
③ まったくをもって受け入れられるはずもない「無理難題」
教師、父兄・・・立場は違えど願い、想いは一緒のはずです。どちらにも自らを振り返り、相手の立場に立ってみる~この視点こそ関係改善の一歩なのですね。
そして何よりも大切なのは普段から、担任に限らず教職員とのコミュニケーションを密にしておくことです。このことによって学校での子どもの様子をより深く、教師サイドからの視点で知ることができるようになるだけでなく、教員本人の人となりを理解するのに実に役立ってくれるのです。
「それはわかってるけど、なんか、なかなかね~」という親御さんの声が聞こえてきそうですが、親御さんの真剣な声、ご意見はたとえそれが教師にとってイタいことであっても、自分は教師であるという自覚がある大人ならばきっとその声に真剣に向きあうはずです。
コトが起きた時、問題が大きくなってしまってからのアクションよりも、教師としては何気ない普通の家庭の様子を知らせてもらえるだけで実にありがたいことなのです。お互い人間同士なのですから、最低限の常識と礼節を弁(わきま)えてさえいればなんの遠慮もいりません。
そして学校とのコミュニケーション以上に大切なのは、わが子との日ごろから相互理解です。親が子どもについて理解を深めるだけでなく、子どもにも親の考え(教育方針、我が家の教育理念)、今考えていることを理解させなくてはいけません。何でも一方通行的な思い込み、思い違いから「ズレ」「カケ」「キレツ」が始まっていきます。
親子なのですからもちろん以心伝心の部分もたくさんあることでしょう。それでも、口に出して言って子どもの耳に届け、子どもから直に聞いてみないとわからないということもきっと多いはずです。
日ごろからの何気ないコミュニケーション、子どもの様子の観察、見守り、寄り添い・・・こういった些細なことの積み重ねがいちばん大切なような気がしてなりません。
関 連 記 事・情 報
以下の情報は教師向けのものもありますが、親御さんとして教師の手の内をのぞいてみるのも無駄ではないかもしれません。
※ 「モンスターペアレントと思われないために~共に育む~教師は敵ではない!」
※ 「モンスターペアレントとどう付き合っていくか?振り回されず、理解され主導する極意!」
※ 「元教師が語る保護者クレーム、モンペ対応の極意~自分の柱を持つこと~」
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